趣旨
財政高騰する国民医療費の伸びに保険が追いつかず、このままでは医療保険制度の存続が懸念されるようになり、それに対応する医療制度改革を目的として、厚生労働省から「21世紀の医療制度改革案」、与党医療保険制度改革委員会から「21世紀の国民医療」と題する改革案が提出されている。
これを受けて平成11年4月16日には、医療保険福祉審議会の「診療報酬体系のあり方について」の報告書が発表された。
その後、平成13年3月28日には、日本医師会が、3つの目標、4つの基本理念、5つの具体的方策を盛り込んだ「医療構造改革構想」を公表、同年4月12日には、健保連が、3章からなる「今後の制度改革に向けての考え方」を発表した。
しかし、これらの改革案並びに報告書の中には疾病の診断・治療に必要かつ欠くことができない検体検査について殆ど触れておらず検体検査の必要性について十分に議論がなされたうえで作成されたとは考えられない。
医療制度改革の目的として、「医療資源の効率的活用(コスト・ベネフィット)」と「患者にとって質の良い医療サ_ビスの提供」の2点が基本的な考え方とされている。
この観点から検査はどうあるべきかを検討し、患者にとって重要である検体検査について、医療の包括化が進む時、検査に関する粗診・粗療を防ぎ、検査の質の向上を確保し、科学的根拠に基づく医療(EBM:Evidence Based Medicine)を検証することが必要である。すでにこの観点から、必要性が低くなった検査項目を日本臨床検査医学会が主導して診療報酬の対象から削除する提案も現在実施している。さらに、予防医療における検体検査の普及など医療資源の有効利用につながる検体検査の利用法をどのように医療制度改革にとり入れるかについても臨床検査関連6団体協議会(以下「検査6団協」という)は、検体検査にかかわる立場から総合的に検討を進めたのでここに要望する。
- 要望事項
(1)包括化に対応する検体検査の質を確保するための措置を講ずること。
- 検査実施料と深い係わりのある検体検査判断料、検体検査管理加算が入院基本料に包括されることなく維持されること。また、院内感染防止対策のため院内検査室からの感染症情報についても同様に包括されることなく維持すること。
- 医療の質の維持と向上を確保するため、臨床検査医学会による診断・治療のための検査のガイドラインで示した検査項目に対しては診療報酬へ反映させること。
- 検査データ共有化のための環境整備を行うこと。すなわち検査データ共有化のための標準品の制定や測定法の基準化、施設間の精度管理等検査の標準化に伴う経費を診療報酬に反映させること。
(2)委託検査の検査価格差(検査差益)を解消するために、検体検査実施料の扱い及び支払い方式について新しいシステムを導入すること。
- 検体検査実施料は、実勢価格反映方式ではなく、適正な検査原価に基づいて設定すること。
- 検体検査に関する診療報酬の医療機関に対する社会保険診療報酬支払基金等からの支払いについては、院内で検査を行った場合は、検体検査実施料の満額を支払い、登録衛生検査所(以下「検査センタ_」という。)に委託した場合は、請求書添付方式、すなわち医療機関が検査センターに支払った額を診療報酬とする給付方式を導入すること。
(3)検体検査に使用する検体検査薬(体外診断用医薬品)の安定供給を確保し、研究開発の促進ができる環境を整備すること。
検体検査の安定供給及び検体検査の研究開発の促進を図るため、検体検査薬(体外診断用医薬品)の価格に直接影響する実施料の設定に関して、新しい検査項目(区分D-1)に対しては、既存の類似検査の点数項目、検査方法の準用によることなく、開発努力を保険点数に反映させ、保険適用後も一定期間(少なくとも1年間)は保護できる政策を実施すること。
(4)体外診断用医薬品の大衆薬化促進を図ること。
今日、高齢化社会による成人病が増加する傾向があり、従来の疾病の早期発見や治療から健康増進及び自分の健康は自ら守るというセルフケア領域についての施策即ち予防医療の分野での充実が必要になってきた。このことは、日本医師会の医療構造改革でも触れているとおりである。
そのためには、国民の1人1人が自分の健康状態を自らチェックすることができる検査薬の普及が必要であり、需要も多く求められるようになってきた。しかし、現在は試験紙法による尿糖、尿蛋白及び妊娠検査薬が認められているのみである。今後、便潜血検査薬、LH(黄体形成ホルモン)検査薬を始め、これら検査薬の多くを大衆に普及させる施策を実施することは、結果的には、医療費の節減にも大いに寄与するものと考える。
(5)ベットサイド検査(Point of care testing) に、適正な検査機器管理料を設定すること。
科学技術の発展により、近年携帯型の心電図検査、血液ガス分析器、血糖値の測定等が患者のベットサイドや医師が診察中に患者の目の前で状態をリアルタイムに反映した検査データを供給できるPoint of care testing(以下「POCT」と略。)は、効率的な医療を提供する医療の現場においてのみならず、将来は在宅医療、訪問看護の部門においても普及することが予想され、そのためには、検査データの精度管理と機器の安全性の確保また医療過誤を防止のためにも分析機器の精度管理とメンテナンスを重視した適正な検査機器管理料を設定すること。
(6)臨床検査指導料を設定すること。
臨床検査の各種負荷試験、自己血糖測定、ホルター心電図の記録、小児及び精神障害者の生理学的検査等においては、必要に応じて検査の意義、検査法の指導、注意事項などを十分に説明し時間を費やして指導を行っている。こうした検査においては患者やその家族に対する説明と指導は正確な検査結果を得るためには不可欠であり、患者の安全を確保し、良質な検査データを提供するため医師の指示があってこうした指導を行った場合には「臨床検査指導料」として算定できるようにすること。
(7)医師の判断による検体検査の選択に保険診療と自由診療の組み合わせを認めること。
患者のインフォ-ムド・コンセントが得られた検査項目(保険収載、未収載にかかわらず)について、患者の状況にあわせて医師の判断により検査が実施できるように、保険診療の中に患者から料金を徴収できる自由診療制を一部認めること。
(8)検査室勤務医師による検体検査診断を診療報酬に反映すること。
数値などの結果のみでは判定が困難な、骨髄像検査、免疫電気泳動像解析検査、遺伝子検査、アイソザイム解析検査などについて、病理学的検査診断と同様に検査室勤務医師が上記の検体検査診断を行う際に診療報酬をつけること。
以上、検査6団協としての要望、提案の趣旨は、全て医療資源の有効利用と患者にとって質の良いサービスの提供につながるものと考えており、法的整備を必要とする点もあるが、今回の医療制度の抜本的改革に際し、ぜひご検討頂けるよう関連団体の総意として要望する処である。
- 包括化に対応する検体検査の質を確保するための措置を講ずることを要望する事由とその効果
(1)検体検査実施料(以下「実施料」という。)と深い係わりのある検体検査判断料、検体検査管理加算は、入院基本料に包括されることなく維持されなければならない。また院内感染防止対策に要する費用も別に診療報酬に反映させる必要がある。
なぜなら、院内で検体検査を実施する場合、登録衛生検査所(以下「検査センター」という。)と比較して検体数が少なく、特に緊急検査、夜間休日検査などは 多数項目、少数検体で実施することが多い。これらの院内検査の質を確保するためには、少数検体に対しても対応できる機器の整備ならびに特別の精度管理を実施するとともに、医師により検体検査の結果が適切である旨判断されることが必要である。検体検査判断料、検体検査管理加算、院内感染防止対策加算等が入院基本料に包括されると、検査の質の確保のために必要な種々の精度管理が、適切に実施されなくなるおそれがある。
すなわち、院内検査では、検体検査の質の確保のために、上記項目が入院基本料に包括されることなく維持されるべきである。また、委託検査の場合には、検査センターでは検査実施に際し、患者情報が得られることは殆どない。従って、種々の患者の病態情報と対比し評価すべき検体検査結果は、必然的に依頼した医師が適切に判断しなければならない。すなわち、委託検査においても、検査の質を確保するために検体検査判断料は、入院基本料に包括されることなく維持される必要がある。
(2)今後、医療の包括化が進められるとき、限られた医療資源を活用するためには、検査の利用の仕方に改善すべき点が少なくない。
科学的な根拠に基づく医療(EBM:Evidence Based Medicine)を達成するための重要な要素として適切な診断・治療のための検査のガイドライン(日本臨床検査医学会)にそって、必要な検査項目が行われそれを診療報酬へ反映させることが必要である。これにより、過少診療や粗診・粗療におちいることなく医療水準を確保でき、医療の質の維持と向上につながるものである。
(3)医療機関間の検査データは施設を異にしても、測定値は常に同程度の値で提供され、患者個人のデータが共有されることが重複検査を排除する意味から望ましい。しかし、現状は、精度管理調査等で示されるように、施設間や検査方法の違いによりデータに差が生じている。また標準測定法と標準物質の整備、検査現場での標準作業手順書(SOP)と記録・保管などの整備に遅れがあり、測定値の精度保証の意味から、直ちに検査データを共有化できない側面がある。
従って、これらの問題を早急に解決した上で、検査データの共有化を図る必要がある。
- 委託検査の検査価格差(検査差益)を解消するために、検体検査実施料の扱い及び支払い方式について新しいシステムの導入を要望する事由とその効果
(1)実施料の見直しについては、実勢価格反映方式がとられ、実勢価格に基づいた引下げが行われている。しかし、実勢価格は、医療機関からの低価格要請等によって定まる可能性が高く、その結果、必要以上の実施料低下を余儀なくされているのが現状である。院内検査、院外委託検査とも、人件費、試薬費、精度管理費、設備償却費等の検体検査全般の管理に費用がかかっているにもかかわらず、このように実勢価格のみの要因に偏って実施料が設定されることが続けば、実施料が適正な検査コストと乖離し、実施料の中に含まれる検査の生命線ともいえる精度管理に要する費用も圧迫され、良質な検査の提供が困難となってくる。
適正な実施料を設定するためには、実態に即した明確な算定基準に基づいて適正な検査コストを算定することが必要である。今後、実施料は、実勢価格反映方式ではなく、検査コストの基礎数値に基づいて設定されるべきである。
ドイツでは、平成11年7月から新たな医療制度改革を実施するにあたり、検査コストの客観性と妥当性を高めるために、その算定を外部コンサルタント(米国マッケンジー社)に依頼している。我が国においても、適正な実施料の設定、検査コストの算定にあたり、院内検査及び院外委託検査に対して同様の取組が必要と考える。
その結果、現行の実施料が原点に立ち戻って見直されることとなるが、行政や国民にとって、検査に対する妥当性、透明性、納得性が得られるためには必要な措置と考える。
(2)実施料が適正なコストに基づいて設定されれば、基本的にはその実施料の通り、もしくはその実施料に準じた価格で取引されるべきである。一方、検査センターにおける企業努力による市場原理を反映するうえで、公正競争規約の遵守を前提とした実勢価格が存在する。
その結果として、検査コストに基づいた適正な実施料が設定されても、院外委託検査には検査価格差(検査差益)が生じることとなる。
したがって、その解消策として、検体検査に関する診療報酬の医療機関に対する社会保険診療報酬支払基金等からの支払については、院内で検査を行った場合は実施料満額を支払い、検査センターに委託した場合は検査センターへの支払い額(検査センターからの請求額)と同額を支払う請求書添付方式、すなわち「医療機関が検査センターに支払った額を診療報酬とする給付方式」の導入を提案する。検査価格差(検査差益)解消の抜本策として、直接請求方式の導入が考えられるが、医療財政逼迫の即効的な解消という観点から、抜本的な法改正を必要とせず、現行法制度のもとでの厚生省告示レベルによる変更で対応可能な請求書添付方式の早急なる導入を要望するものである。
検査価格差(検査差益)の解消により、品質とサービスに基づいた競争となり、検査にとって望ましい方向になる。また、この方式の運用を徹底させるために、キックバック等の違反に対して厳しい罰則等の措置を講じることも必要である。
ただし、検査価格差(検査差益)は薬価差益と同様に医療機関の経営原資として、不適切な技術報酬を補っているとの指摘もある。そこで、検査価格差(検査差益)の解消については、技術報酬の見直しと同期させて解消していくことが必要であると考える。
- 検体検査に使用する検体検査薬(体外診断用医薬品)の安定供給を確保し、研究開発の促進ができる環境の整備を要望する事由とその効果
(1)検体検査の安定供給の必要性
臨床検査医学の発達により、検体検査は、診断・治療に欠くことの出来ないものとなっている。病院内検査室と検査センターは全国の臨床医家に、精度の高い検体検査を必要な時に利用できるよう供給してきた。その結果、国民に対し良質な医療の提供に寄与してきたわけであるが、説明資料「2.委託検査の検査価格差(検査差益)を解消するために、検体検査実施料の扱い及び支払い方法について新しいシステムの導入を要望する事由とその効果」で述べた委託検査における検体検査の価格差に加えて、データ共有化など検体検査に関する情報開示や整備の遅れのために検体検査の乱用が一部発生し、医療費増大の原因のひとつとなった。
医療費抑制の波の中、検体検査の適正利用の促進を行うことなく、包括化の導入を行い、さらに委託検査の実勢価格による検体検査実施料の引下げを続けられた場合、今まで構築されてきた適正な検体検査の体制が崩壊し適切な医療が実施出来なくなる。
なぜなら、説明資料の2で述べたような改革なしでは、院内検査室の収支バランスが維持されず、本来院内で行われるべき検査が委託化されるような事態が起こる。
また、検査センター自体も精度管理を維持できるだけの受託価格が得られず、現代医療をサポートする質の確保された検体検査を安定に供給することが出来なくなる。この検体検査の安定供給を脅かさないためにも説明資料の2で述べたような施策の実行を要望する。
(2)検体検査の新技術・新検査法の研究開発促進の重要性
臨床検査医学の急速な発達により、医療水準の向上があったことは論を待たない。今後も診断・治療に対する高度の判断材料を提供する新技術を用いた検査方法について、その研究開発を積極的に進めることは、将来の医療水準の向上にとって必要欠くべからざるものである。
新技術の開発には、他の自然科学部門と同様、産学が共同してあたる事が必要である。
新しい検査技術開発の停滞は、我が国の医療水準向上を阻害し、国民に最新、最良の医療を提供できなくなる可能性がある。
(3)検体検査薬(体外診断用医薬品)の価格に直接影響する検体検査実施料にかかわる設定方法の改善
近年、検体検査薬(体外診断用医薬品)の開発に対して、次のような傾向が強くなり、新技術、新検査法の評価が検体検査実施料に反映され難くなってきていると共に、その開発を行った先発企業の保護がなされていない。
- 新しく開発した検査項目(区分D-1)の保険適用点数においては、既存品と類似の検査点数の準用により決められるケースが多く、実質の開発費を償却するにさえ不十分な点数になっている。その結果、新たな開発投資の余力を失いつつあるのが実態である。
- 区分D-1の保険適用申請に際しては、先発企業は、資料収集から始まり、厚生労働省とのヒアリングを行い、その結果として保険点数が設定される。しかし、後発企業は、薬事承認さえ取得すれば即保険適用となるのでその負担は極めて少なく、先発企業の開発努力、投資の償却等について、診療報酬点数上からは考慮されていない。
このような状況を改善するために、新たな検査項目や全く新規な技術の市場における使用状況報告を得るために、一定期間(少なくとも1年間)は、後発企業の保険適用を保留することを要望する。
以上、説明資料2で述べた検体検査実施料の新たなシステムを設けることやここで述べた先発企業を一定期間保護することの政策を行うこと等により、委託検査料の安定化が見込まれ、院内検査も妥当な実施料が確保されるところから、検査薬の価格が安定し、その結果として、検体検査(薬)の研究開発が促進される。
(4)検体検査薬(体外診断用医薬品)の法的位置づけについての要望
現在は、検体検査薬(体外診断用医薬品)の開発に際しては、試薬とそれに使用する機器即ち医用検体検査機器は別々に規制がかかり両者を併せたシステムとしての性能保証ができない制度であることは、精度管理面でも問題がある。また、保険適用においても、説明資料3の(3)で述べたような問題が残されている。
しかし、体外診断用医薬品と医用検体検査機器を併せたシステム(In Vitro Diagnostic-Medical Device ;IVD-MD)としての性能保証ができるような法的位置づけと、区分D-1の薬事承認後の診療報酬点数収載へのつながりを持たせることは、良い検査項目と、より精度の高い検査方法をいち早く患者に提供することができることであり、良質な医療の提供に寄与するものである。
- 体外診断用医薬品の大衆薬化促進を図ることを要望する事由とその効果
今日、高齢化社会による成人病が増加する傾向があり、従来の疾病の早期発見や治療から健康増進及び自分の健康は自ら守るというセルフケア領域についての施策即ち予防医療の分野での充実が必要になってきた。このことは、日本医師会の医療構造改革でも触れているとおりである。
そのためには、国民の1人1人が自分の健康状態を自らチェックすることができる検査薬の普及が必要であり、需要も多く求められるようになってきた。
この領域については、現在、「セルフケア領域における検査薬に関する検討会第一次報告(平成2年6月)」で、試験紙法による尿糖、尿蛋白が、同じく第二次報告(平成3年7月)で妊娠検査薬が認められているのみである。一方、便潜血検査についても、その必要性から、セルフケア領域への導入を図ることが適当な分野であるとされたが、当時検討した製品では操作性と判定の容易さに難点があるとされて導入には至らなかった。
しかし、その後、製品改良がなされ、現在では、セルフチェックにも充分に耐え得る状況になっているところから、便潜血検査薬の早期の導入を求めるものである。さらに、今後ともセルフケア領域の検査薬の導入を求めるものであるが、これら検査薬の多くを普及させる施策をおこなうことは、結果的には、医療費の節減にも大いに寄与するものと考える。
また、既に大衆薬化している妊娠検査薬とほぼ同一測定法で実施できるLH(黄体形成ホルモン)検査は、積極的な妊娠可能時期を推定するための有力な検査である。わが国の少子化問題解決の支援材料の一つとして速やかな大衆薬化が望まれる。
- ベットサイド検査(Point of care testing) に、適正な検査機器管理料の設定を要望する事由とその効果。
科学技術の発展により、近年携帯型の心電図検査、血液ガス分析器、血糖値の測定等が患者のベットサイドや医師が診察中に患者の目の前でPoint of care testing(以下「POCT」と略。)を行えるようになった。このPOCTは、患者の状態をリアルタイムに反映する検査データを供給できる利点があり効率的な医療を提供する医療の現場においてのみならず、将来は在宅医療、訪問看護の部門においても普及するものと思われる。
一般にPOCTは、簡便で複雑な操作を必要としないことから医師以外に看護婦等の医療従事者が測定する場合もあるが、検査データの精度管理と機器の安全性が確保されなければ無意味なものとなるばかりか医療過誤を引き起こす原因になる。このようにPOCTは、分析機器の精度管理とメンテナンスが重要な要因となることからベットサイド検査管理加算として、適正な検査管理料を設定するよう要望する。
臨床検査指導料の設定を要望する事由とその効果
臨床検査の各種負荷試験、自己血糖測定、ホルター心電図の記録、小児及び精神障害者の生理学的検査等においては、必要に応じて検査の意義、検査法の指導、注意事項などを十分に説明し時間を費やして指導を行っているが、この場合患者の理解度、重症度、合併症の有無などの要因により長時間を要している。こうした検査においては患者やその家族に対する説明と指導は正確な検査結果を得るためには不可欠であり、医療過誤を未然に防ぐ意味でも重要と考えている。
従って患者の安全を確保し、良質な検査データを提供するため医師の指示があってこうした指導を行った場合には「臨床検査指導料」として算定できることを要望する。
なお、診療報酬点数B008で薬剤管理指導料は、薬剤師が医師の同意を得て薬剤管理指導記録に基づき、直接服薬指導を行った場合に週1回算定できること、またB001で管理栄養士が医師の指示せんに基づき特別食患者に対して食事指導を行った場合に栄養食事指導料を算定できることとしているが、これに準じた検討を要望する。
- 医師の判断による検体検査の選択に保険診療と自由診療の組み合わせを認めることを要望する事由とその効果。
現在、検体検査には保険収載のものと未収載のものがある。このうち、保険未収載のものについては、保険医療を行っている患者について実施することは許可されておらず、患者のインフォ_ムド・コンセントが得られた場合にのみ医師(医療機関)が検査料金を負担する形で検査が実施されている。また、保険収載された検体検査についても、鑑別診断のために行う検査について全てレセプト用診断名をつけて行わなければならず、予防医学的な検査も疾患治療時に保険で行うことは認められていない。
そこで、カルテには、実施した全ての検体検査を記載し、その中から保険医療に必要であった保険収載検査項目だけをレセプトで請求するシステムを認め、その他の検査項目については、患者のインフォームド・コンセントが得られたものについて、それぞれの患者の状況にあわせて医師の判断による検査項目の選定とその項目については患者より徴収することを可能にする。これにより良質な医療の提供と医療の透明性を促進することができる。
- 検査室勤務医師による検体検査診断を診療報酬に反映することを要望する事由とその効果
現在、数値では判定が困難な血液形態検査や、遺伝子検査など患者の病態推定以外の重要な情報を提供する検査については、病態の診断が必要である。具体的には骨髄像検査、免疫電気泳動像解析検査、遺伝子検査、アイソザイム解析検査などについて、病理学的検査診断と同様に検査室勤務医師が検体検査診断を行う際に診療報酬をつけること。
このような結果の解釈と検査診断を付与することは病理学的検査診断料として認められているものと同様極めて重要である。
これらを診療報酬に反映させることで結果判定の誤解などに伴う重大な診療過誤を防止し、診療の質を向上させることが出来る。
以上、現在の医療制度の中で、検体検査のかかえる様々な問題点と、将来医療の包括化が進むことにより発生するであろう問題点に対する解決策を検体検査に関連する団体として要望し、その事由と効果についての説明を行った。