気候の変動によって起こる健康障害を予防するためにWHOは世界的な行動を呼び掛けた〈Press October 2007 WHO-207〉
WHOが誕生して60年を記念するがごとく、大きな問題として気候の変動によって起こる健康障害を防ぐために地球規模での団結と行動をWHOが世界的に
呼び掛けた。気候の変動は国際的な話題の中心になっているのが、それは米国のゴア 前副大統領がノーベル賞を受賞したことでもわかる。健康的環境と保健衛生を
向上 させることが重要な課題になっている。保健活動の専門家は気候の変動による 悪影響に対し最前線で対応してなければならない。すでに種々の病気、特に
マラリア、 栄養不良、下痢などの疾患については戦い、予防し、コントロールしている。
感染症の調査活動、感染症のコントロール強化、減少している水の安全の確保などに対し、各国政府は協調していかなければならない。2008年の世界保健日には
世界中の地域社会および団体が、気候の変動による健康障害をよく認識し理解することが必要である。国内および海外での決定や政策は相互依存の関係にある。
世界各国で食品の安全性について一段と監視を強化〈Press July 2007 WHO-206〉
WHOとFAO(食品・農業機構)は、世界各国が食品の安全性について食品加工業者や食品販売会社に対し一段と監視を強化していると述べている。食の安全に関する事件では、非合法な中毒性の食品材料や家畜に用いた残留薬品などが問題になっている。WHOとFAOは過去12か月にわたり、1月あたり200件の食品の安全性を脅かす事件を調査してきた。世界中に展開する食品市場において、世界各国は消費者に対し食品の安全性・品質・安全基準について担保している。
不完全な食品安全性システムで運用されている場合には、食品の安全性を脅かす問題が発生する。とくにサルモネラ菌、キャンピロパクター、リステリアなどの微生物による感染症や殺虫剤・家畜用薬品などの化学物質が残存して病気を起こす。不衛生な食品や飲料水に起因する下痢性疾患で毎年180万人の小児が死亡している。開発途上国での食品生産システムは、人口の増加、都市化、食生活の変化、食品と農業製品の産業化などに直面している。気候の変動、不衛生な環境、ぜい弱なインフラなどにより複雑化している。先進国においても食品安全性システムが完全ではないので、家畜の中から発生した新種のサルモネラ菌が食品を通じて世界中に広がることも起こりうる。
健康に与える環境因子の影響を国別データとしてWHOが発表〈Press June 2007 WHO-205〉
WHOは2007年6月13日に健康に与える環境因子の影響を新しく国別データとして発表した。データはそれぞれ国別によって大きく変動しているが、人々の健康は空気汚染、
労働環境における危険、紫外線暴露、騒音、農業上のリスク、気候、職業因子、エコシステムの変動などを含む環境リスクを減少させることで改善できるとしている。
新しいデータによれば、環境を改善することにより毎年1300万人の死亡者を予防することが可能である。病気がまん延している国の3分の1は環境を改善することにより予防が
可能である。最も環境が悪い国は、アンゴラ、ブルキナファソ、マリ、アフガニスタンである。23か国では、死亡者の10%以上が2つの環境リスク、すなわち、不衛生な飲料水と
室内の空気汚染でおこる。室内の空気汚染は、食事を作る際に薪などの固形燃料を使う際の煙の影響による。5歳以下の子供が最も被害を受け、死亡者の74%以上が下痢性疾患
及び下部呼吸器感染になっている。
低所得国家では、環境因子が健康に最大の影響を与え、高所得国家に比べると1年あたり1人の健康寿命が、20倍以上失われている。環境因子が良い国においても、病気の
6分の1は環境を改善することにより予防できるが、特に循環器疾患や交通事故は顕著に減少させることができる。
国別のデータは環境リスクによって起こる健康障害の影響が推測でき、病気予防のための行動を起こすことができる。ガスや電気などを用いた調理法の改善、換気の改善、
子供を台所の煙から遠ざけることなどにより、呼吸器感染や婦人・子供にみられる病気を減らすことができる。
WHOは患者の安全を守るために9か条の注意事項を発表〈Press May 2007 WHO-204〉
WHOによると、10人に1人の割合で医療事故が起こっている。患者の安全を守るために最も重要なことは治療や介護の最中に起こる事故を予防することである。
今回、発表した9か条の注意事項は、患者の安全に関する諸問題を解決する方法である。過去12か月にわたりWHOの安全委員会に各国から50人の代表者が
集まり討論した結果、次のような9か条の注意事項を発表した。
第1はそっくりで同じように見える薬剤、そっくりで同じように聞こえる薬剤の名称の対応、第2は患者さんのIDの確認、第3は患者さんを引き継ぐ時には
連絡を密にする、第4は身体の正しい場所に正しい処置を行う、第5に電解質改善用の点滴液の利用の適正化、第6は治療法を変更する場合には間違えはないかを
確認する、第7はカテーテルや点滴チューブの連結を間違えないようにする、第8は注射器や点滴セットは1度の使用しか認めない、第9は治療や看護中に発生する
感染症を防ぐために衛生状態を改善することなどである。WHOはこれらの注意事項を加盟国に順守するよう要望している。
H5N1 トリインフルエンザウイルス試料の提供をインドネシアが再開〈Press Mar. 2007 WHO-203〉
2007年3月26、27日にジャカルタで行われたWHOの会議でインドネシアの厚生大臣がH5N1トリインフルエンザウイルス試料提供を直ちに再開すると発表した。
WHO協力センターでは、H5N1トリインフルエンザウイルスがヒトの遺伝子を取り込み変異していないかの検査、ワクチン用の菌株の同定、このウイルスがどの
抗ウイルス薬に効果はあるかの検査、ウイルスの進化および地理的な広がりの追跡調査、変異ウイルスに対する診断薬の有効性のチェックなどを行っている。
この会議には動物またはヒトの間でH5N1トリインフルエンザウイルスの流行があった20か国(このうち18か国は途上国)の専門家とアジア開発銀行及びゲイツ財団の代表が
集まった。インドネシアの厚生大臣は、ウイルスの提供の再開を約束し、WHOと協力すると述べた。このWHOの会議では、インフルエンザワクチンの製造技術を
製薬会社が先進国や途上国に移管することを支持した。この会議では、ワクチンの作成に必要な基準ウイルスを確保し、そのウイルスを製薬会社と共有し、ワクチン生産に
結び付けたいと述べている。
子宮頸がんに対する新ワクチンが発展途上国に多大の寄与〈Press Dec. 2006 WHO-202〉
ヒトパピローマウイルス(HPV)は2005年には、発展途上国で25万人以上の女性に子宮頸がんを発生させている。最近、子宮頸がんを引き起こすHPVに対し新しいワクチンが
開発された。すなわち、2006年になってHPVに対するワクチンが完成し、複数のHPVワクチンが認可された。WHOによれば子宮頸がんは女性に発生するがんの中で頻度は第二位で、
次の10年間に子宮頸がんによる死亡者数は25%上昇すると予測されている。2005年には50万人以上の新しい子宮頸がん患者が発病したが、その90%以上は発展途上国の患者で
あった。進行した子宮頸がん患者を未治療のままにしておくと、大多数の患者は死亡する。そのため、子宮頸部のスクリーニング検査をして早期発見、早期治療することが
効果的であるが、経済的な負担は大きい。このワクチンはHPV 16型と18型(全子宮頸がんの約70%を占める)感染症に有効であり、HPV 6型と11型によって女性性器に発生する
イボの90%を予防できるので、その効果は極めて大きい。HPVワクチンは初めて性行為を行う年代の少女に投与し、さらに同世代の少年に投与することになる。子宮頸がんで
死亡する女性の80%は貧乏国の患者であり、ワクチンの投与が最も効果的な地域である。HPVワクチンは最貧国で最も必要であり、できるだけ早く投与すべきである。
WHOと関連団体が偽薬に対する戦いを強化〈Press Sep. 2006 WHO-201〉
ドイツのボンでWHOと20の関連団体が偽薬に対する会議を開催し、登録、取り締まり、規制、技術、連絡などを検討し、偽薬から人々を守る方法を討議した。悪質で詐欺的な
ホームページ(HP)から、偽薬を購入することに対し、個人および政府に警告した。偽薬は、全く効果のないものから毒物を含むものまである。これらの薬は患者を危険な状態
にし、薬剤の耐性を起こし、死亡させることがある。南米、東南アジア、サハラ以南アフリカ諸国では、薬剤の30%以上が偽薬である。
経済発展の著しい諸国では10%、旧ソビエト連邦の国々では20%が偽薬を使用している。強い規制が行われている先進国では、偽薬は市場の1%以下である。しかし、法律を
順守しないHPでは、販売されている薬の50%は偽薬である。WHOのZuker博士によると、金持ちでも貧乏人でもこれらの偽薬を使用している人は、病気になったり死亡したりする。
偽薬に対し無対策の国々では、偽物のブランド腕時計やハンドバッグよりも、偽薬がもっと重大な犯罪であることを認識していない。これらの国では、人々の健康よりも商標を
大切であると考えている。一部の先進国では、偽造されたTシャツの方が偽薬よりも重い罰を科している。合法的なインターネット薬局は、政府から処方や配送認可されている
が、非合法的なインターネット薬局では、処方せんもなく無認可で偽薬が販売されている。これらの悪徳インターネット薬局は、世界的規模で商売をしているが、事務所の住所
は登録されておらず、薬物の成分も不明なものが多い。インドネシアとマリでは偽薬の危険性について広報活動を行っており、ベトナムでは、偽薬に対し警察、税関、州政府が
連携を取り摘発を行っている。
オゾン層の減少による子供の健康被害を減少させるための方策〈Press Sep. 2006 WHO-200〉
子供に帽子やサングラスを用いて、危険な紫外線を遮断することが、小学校の先生に求められている。オゾン活動について学校で教育する企画が、イギリス、フランス、
スペインで立てられた。子供をオゾン層から守る簡単な手段としては、子供たちにオゾン層についての基本的な知識と紫外線を遮断するための実際的な行動を教えること
である。オゾン層が破壊されるために小児の健康に多大な危険性に対し実施すべきことは多い。「オゾン層を保護し地球上の生物を救済しよう」というテーマのもとで、
9月16日に世界オゾン層保護日が行われた。悪性黒色腫や皮膚がんは太陽光に露出するのを避けることにより予防できる。危険な紫外線により地球上の生物を保護するには、
オゾン層が必要である。もっとも、紫外線は骨の健康には必須であり、ある種の慢性疾患を防ぐ働きがある。日光は身体に重篤な影響を与え、急性障害として、水疱形成
するが、慢性的な影響として、がんや白内障による失明が起こっている。WHO、UNESCO(United Nations Educational,Scientific and Cultural Organization)、UNEP
(United Nations Environment Programme)がオゾン活動に対する教育する企画を共同で推進し、各国の厚生省、学校、教師を教育していくことになった。
HIV/AIDSの予防、治療、支援に医学、資金、医療従事者が必要〈Press Aug. 2006 WHO-199〉
2006年8月16日で開催された国際エイズ会議で、Dr. Nordstrom WHO事務総長代行が演説した。HIV/AIDSの基金に本年150億米ドル、2008年には220億米ドルが必要であるが、
現在は80億米ドルしか集まっておらず、財政上危機的な状況である。基金を増やすためにG8を含む先進各国に拠出金を呼びかけている。2010年までにHIV/AIDSの予防、治療、
支援に医学、資金、多くの医療従事者が必要である。フランス、ブラジル、チリ、ノルウェー、英国などでは、航空会社に課税し、そのお金をA1DSの基金にしており、有効な
方法である。「低開発国において2005年末までに300万人を治療するWHOの計画」も有効であったが、さらなる展開が望まれる。HIV/AIDS薬剤投与については、サハラ以南の
アフリカ諸国では予想の10倍の人に投与され増加したが、まだ不十分であるので、アフリカ諸国に対しては引き続き優先的に援助を実施する必要がある。今後、HIV/AIDSの
新しい診断法や薬剤、ワクチンが必須であると述べている。
病気の四分の一は悪化した環境暴露で発生〈Press June 2006 WHO-198〉
WHOは、一年間の死亡者の24%が悪化した環境暴露により発生し、防御対策を行えば予防できると報告した。環境が破壊されて起こる4大疾患は、下痢症、下部呼吸器
感染症、予想外の外傷、マラリアである。悪化した環境暴露を防御することで年間400万人の子供の命と年間1300万人以上の死亡者を救済できると予測している。こ
れらの死亡者の約三分の一は最貧民の国民である。小児の二大疾患であるマラリアの年間死亡者数は1900万人(全症例の42%)で、水資源の不完全な管理と感染源である蚊
の不完全な撲滅が原因である。下痢症は年間死亡者数は5800万人(全症例の94%)で、不衛生な給水と劣悪な環境で起こるので、悪化した環境を改善することにより防止で
きる。下部呼吸器感染症の年間死亡者数は3700万人(全症例\の41%)で、室内・屋外の空気汚染で起こる。予想外の外傷の年間死亡者数は2100万人(全症例の44%)で、
工場での事故が原因で起こる。道路上で起こった交通事故の年間死亡者数は1500万人(全症例の40%)で、交通システムのデザインミスや環境上の欠陥が原因である。慢
性閉塞性肺疾患の年間死亡者数は1200万人(全症例の42%)で、これは汚染した仕事場の粉塵や排気ガスが原因であり、新生児疾患の年間死亡者数は1100万人(全症例の11%
)で悪化した環境暴露により起こる。WHOでは、これらの病気は劣悪な生活環境を改善することにより防止できると述べている。
世界的連携により、医者、看護婦など医療従事者が世界的に不足している現状を解消させる試みが始まる〈Press May 2006 WHO-197〉
世界規模の医療連携機構(Global Health Workforce Alliance)で、看護婦、医者、助産婦などの医療従事者の世界的な不足を解消させる
新しい試みが始った。57か国 (そのうち36か国がサハラ砂漠以南のアフリカ諸国)では、医療従事者が極端に不足している。これらの国では、400万人以上の医者、看護婦、
助産婦、管理者、公衆衛生学者などが緊急に必要となっている。WHOでは少なくとも、1000人当たり2.3人の熟練した医療従事者が必要であり、人口の80%をカバーできる数
の産婆や小児ワクチンを接種する人が必要である。アフリカ諸国首脳の呼びかけに答えて、G-8会、WHOなどは、この医療従事者不足の危機を迅速に解決するために、医療
従事者の労働条件の改善と人的移動を効果的に行うことになった。多くの途上国において医療従事者が不足し医療体制も不備なため、何百万もの人々が基本的な救命活動
が受けられないでいる。そこで医療連携機構としては、発展途上国で有資格医療従事者を増やすために、5つの戦略、すなわち、 1】医療従事者養療機関に財政的援助
2】途上国と工業国の間で教育研修の連携 3】途上国において新しい学問的リーダーの育成 4】途上国での教育方法を先進的な方法で実施 5】医療従事者が不足して
いる国での計画立案チームを支援などの計画を立て実行することになった。
医療連携機構は、10年計画で医療従事者を養成しようとしている。この機構のパートナーとして、ビル メリンダ ゲイツ財団、カナダ国際開発機構、ヨーロッパ委員会、
世界ワクチン機構、ハーバード大学、アフリカ支援機構、ノルウェー国際開発機構、タイ厚生省、世界銀行、WHOなどが協力する。ノルウェーの政府は、初年度に350万
米ドルを寄贈する。次いで、カナダ、アイルランド、スウェーデンなどが寄付することになっている。
スーダンで悪化する健康 −命を救うのに資金が必要−〈Press March 2006 WHO-196〉
スーダンで何百万もの人に健康被害がみられる。人道的介入資金が供与されない限り、ダルフール地区では、安全な水の確保ができず、
医療サービスの欠如とあいまって、マラリア、髄膜炎、下痢性疾患、急性呼吸器感染症、麻疹の流行が予測されている。スーダンに対して、WHO はスーダン人の健康強化の
ために20の健康プロジェクトを実施している。これらは、情報・管理の改善、病院でのケア、病院紹介システム、戦略的健康管理、伝染病の監視・流行への迅速対応・伝染
病撲滅、環境衛生などである。WHOは、スーダンで救援活動を続けるために、伝染病の流行防止と死亡者減少のために健康資金として、2400万米ドルが必要としている。
スーダンでは、伝染病が主要な死因であり、過去6か月間に、急性水様性下痢症、コレラ、デング熱、黄熱病、サル天然痘、髄膜炎が勃発した。雨期(6月と7月)に入り病気
が流行する前に、健康維持、衛生状態の改善、医療サービスへのアクセスの改善、薬剤と安全な水の確保などのために、緊急に資金が必要とされる。
麻疹による死亡が世界で過去6年間に48%減少〈Press March 2006 WHO-195〉
麻疹のワクチン接種を全世界で実施したところ、死亡者が1999年には871,000人であったが、2004年には454,000人と48%の減少を示した。
最も感染率の高いサブサハラアフリカでは死亡者が60%減少した。これは、安全で安価なワクチンが1960年代に投与できるようになった成果である。2004年には5歳以下の
小児が麻疹で410,000人死亡したと推定されているが、その多くは重症下痢と肺炎を合併していた。生き残った小児の多くは失明や脳障害の後遺症に悩まされ、一生障害者とし
ての生活を送ることになる。
麻疹は発展途上国で、小児の主要な死因であるが、安価で安全なワクチンを2回投与することにより麻疹による死亡をなくすことができる。1999年から2004年までにワクチン
の追加投与により、5億人の小児が麻疹ワクチンの接種を受けた。その結果、アフリカ諸国では麻疹による死亡者が激減したが、南アジアでは減少の速度は遅かった。2001年以来
アフリカの40か国以上でワクチンの接種を実施したが、そのためには、1億5千万米ドルの資金が必要であった。
これらのアフリカや南アジア諸国では麻疹ワクチンの投与だけではなく、ポリオワクチンの投与、マラリア防御のための殺虫剤を染み込ませた蚊帳の供与、ビタミンA剤投与、
回虫駆除剤の投与などが継続的に行われている。
トリパノソーマ症の早期診断のための新しい診断法にゲーツ財団が開発資金を提供〈Press February 2006 WHO-194〉
ゲーツ財団(正式にはBill & Melinda財団)はアフリカトリパノソーマ症の診断を改善するためにWHOと共同で新しい診断法を開発するための資金を寄付すると発表した。トリパノソーマ症は、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国に見られる病気で、ツェツェバエによって伝搬し、治療を行わなければ100%死亡する病気である。発病初期の兆候としては、発熱、関節痛、皮膚のかゆみなどがみられ、その後、原虫が脳に侵入すると、幻覚、異常行動をおこし、進行すると昏睡となり死亡する。トリパノソーマ症は、アフリカ36カ国で流行している。現在、70,000人が感染していると推測される。ゲーツ財団は、トリパノソーマ症の早期診断のための、簡単、正確、安価な検査試薬を開発することが、この病気を治療し撲滅するために必要と考え、本症の診断のための開発資金を提供することになった。
世界がんの日-世界規模の対策により2015年までにがん由来の死亡者を800万人減少させる〈Press February 2006 WHO-193〉
がんは主要な死亡原因で、2005年の死亡者は全世界で年間760万人であるが、有効ながん対策が実施されなければ、10年後には8400万人と大幅に増えると推定されている。WHOはがん死亡者数を2006年から2015年までに、死亡者数を800万人減少させる計画を立てた。喫煙だけで全世界で年間150万人が、がんで死亡している。WHOは世界がん戦略として、「がん抑制 - 知識を広めて実行」という本を来年刊行し積極的に広報活動を行う。
世界の全がん死亡者数の70%以上を低・中所得国が占めているが、その原因はがんに対する予防、診断、治療が不十分なためである。Dr. Galesによれば、多くの患者はがんを予防や治癒できるはずなのに発見が遅れたり、適切な治療が行われていないために死亡者が増えていると述べている。がん患者の40%以上は予防できるという。がん死亡者の急激な増加は、世界的規模での環境変化、都市化、脂肪・糖・食塩などの多い食物の摂取、果物・野菜の摂取不足、肥満・喫煙の増加などが原因である。
WHOではがんを減少させるために121か国と喫煙抑制推進の協定を結んでいる。その他、がんを少なくするために食事と運動による対がん戦略や発がん物質への暴露を減らすなどの対策を発表している。
結核の新しい治療法により治療期間が短縮の可能性〈Press December 2005 WHO-192〉
現在、標準法として推奨されている抗結核薬の投与は6か月間のイソニアジド、リファンピシン、ピラジミナド、エタンブトールである。新しい結核の治療薬をエタンブトールの
替りにガティフロキサシン(gatifloxacin)を用いることにより6か月間の治療期間を4か月に短縮することができる。ワシントンDCで第45回抗生物質・化学療法学会で新しい治療方
法では、治療期間を劇的に短縮することができるようになったと報告されている。世界中で結核に感染している人の三分の一、約800万人が抗結核剤を服用している。HIV/AIDSの
流行が結核の発症率を急速に拡大している。この短期間の治療法は治癒率を高め、耐性結核菌の発生を予防する。南アフリカで行われた第II層試験ではガティフロキサシンまたは
モキシフロキサシン(moxifloxacin)を用いて効果を上げている。その他、ペナン、ギニア、ケニア、セネガルでは第・層試験が行われ、その効果が確かめられた。今後、この研究
はWHOと他の団体との協同事業で続けていくことになる。
世界糖尿病記念日:多くの人が糖尿病で足切断
〈Press November 2005 WHO-191〉
現在、糖尿病にかかっている患者が世界中で1 億7 千万人以上存在し、2030 年には倍増すると考えられている。糖尿病とその合併症は各国の国民の健康と経済に大きな損害を与えている。先進国では糖尿病性の足合併症の治療が糖尿病の全費用の15〜25%にもなっている。基本的な糖尿病の管理が実施されていれば、糖尿病性足切断の80%は予防することができる。糖尿病性足切断の予防は、わずかな費用で、高度の技術もいらずにできる。即ち、はだしで歩くのを禁止すること、靴を履くこと、足を清潔にすること、足の皮膚や爪を良く手入れすることなどである。患者自身が効率よく手入れできる方法を学び、糖尿病の適切な治療と医学的指導を受けることが必要である。WHO では、このような努力により、2 型糖尿病における大部分の合併症は防ぐことができると述べている。
WHOと国連が共同でインフルエンザ対策
〈Press September 2005 WHO-190〉
強い毒性を持つ鳥インフルエンザウイルス(H5N1)がアジアから欧州(ルーマニア、トルコ、ギリシャ、英国)へ拡大している。国連の事務総長がWHOのDr. Nabarroをインフルエンザ対策のため専門官に任命し、鳥インフルエンザが人間に感染するのを抑制し、予防対策を開始した。WHOはガイドラインと予防対策を各国に送った。病原性の強い鳥インフルエンザ(H5N1)に感染している渡り鳥や野鳥(白鳥、カモ、オウムなど)が家禽(ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥など)に接触してウイルスを感染させ、さらにヒトに感染させる。鳥インフルエンザウイルスが突然変異し、新しいインフルエンザウイルスが発生しヒトに感染すると、ヒトには自然免疫がないため、大流行となり多数の人が死亡することになる。アジアの数カ国(ベトナム、タイ、カンボジア、インドネシア)で、既に62人が鳥インフルエンザで死亡している。10月7日〜8日にワシントンで対策会議、10月24日〜25日にカナダで各国の保健相が抗ウイルス薬の使用について討議した。11月7日〜8日にWHOが中心となってウイルス対策の基金についての会議が行われる。鳥インフルエンザが大流行するのを防止し、世界中に広がらないようインフルエンザワクチンや抗ウイルス薬として「タフミル」や「リレンザ」を準備しておく必要がある。
太り過ぎと肥満によって心臓病と脳卒中増加をWHOが警告
〈Press September 2005 WHO-189〉
BMIの増加は、心臓病、脳卒中、2型糖尿病、慢性疾患などの主な危険因子であるとWHOが警告した。世界で10億人が太り過ぎと推定されているが、この傾向が続けば、2015年には15億人になる。太り過ぎと肥満は、心臓病の重要な危険因子でこれが原因で、毎年1700万人が死亡する。肥満は先進国だけに起こると考えられていたが、開発途上国・中進国でも劇的に増えている。その理由は、エネルギー量、脂肪、食塩、砂糖などの過剰摂取と運動不足による。バルバドス、エジプト、マルタ、メキシコ、南アフリカ、トルコ、アメリカ合衆国などでは、31歳以上の女性の75%以上が太り過ぎである。アルゼンチン、ドイツ、ギリシャ、クウェート、ニュージーランド、サモア、イギリスなどの男性は、75%以上が太り過ぎである。特に、西太平洋のナウルやトンガでは成人10 人中9 人が太り過ぎである。すぐに肥満対応を行わなければ、これらの開発途上国・中進国で慢性疾患が増加する。心臓病、脳卒中、2 型糖尿病の80%とがんの40%は、健康的な食事、定期的な運動、禁煙により予防できると報告している。
WHOが津波の被災地で長期間にわたる健康支援
〈Press June 2005 WHO-188〉
2004年12月26日のインド洋津波大震災から6か月経過し、WHOの支援で被災国における医療施設の復興と再生が行われている。多くの津波被災国では、医療システムが津波によって破壊された。インドネシアのアチェでは244の医療施設のうち53施設が破壊または高度の損害を受け、地方医療管理事務所のスタッフ497名のうち57名が死亡、59名が行方不明になった。被災国で破壊された医療施設に対して、WHOが技術的支援および医薬品への援助を行っている。津波震災のあとで、多くの人が強制移住させられ、混雑している住居の中で感染症が広がる恐れがあるが、WHOの調査チームの努力により、352の病人に対し適切な対応が行われた。インドのTamil Nadu州では、最も損害の大きかった4カ所の被災地で、病気発生、飲料水の確保、昆虫由来の感染症の調査と対応が行われた。モルジブでは公立の医療相談所が開設され、精製水の提供、食物中の化学物質と細菌の汚染のモニタリングについて調査している。この他、
被災者のメンタルヘルスも重要な課題である。
発展途上国でHIV感染症の治療が進む
〈Press June 2005 WHO-187〉
WHOとUNAIDSの報告によると発展途上国でHIV/AIDSに対し抗レトロウイルス治療(ART)を受けた人数が、2003年12月の40万人から、2005年6月には約100万人に増加したが、目標としている2005年度末300万人の治療計画は達成できそうもない。アフリカのサハラ砂漠以南の最もHIV感染率が高い地域では、2004年6月に比べ、3倍の約50万人がART治療を受けた。2番目に多い感染地域であるアジアでは、2004年6月に比較して、3倍の155,000人が治療を受けた。治療を受ける人を増やすためには、治療法の単純化、標準化が重要であると同時に、治療だけではなく感染防御手段も同時に行うべきであるとしている。
今回の報告ではHIV/AIDSに対し、ARTを促進するために政策上、財政上、技術上におけるサポート体制を強化することが重要である。政策上ではHIV/AIDSの治療対象となる発展途上国49か国で、そのうち46か国が治療を国の目標に定め、34か国は完全実施をめざしている。現在の問題は薬剤費が高く、今後3年間にHIVの治療と予防に270億米ドルが必要な点である。
第6回ワクチン研究フォーラムがブラジルで開催 ---多くの人の命をワクチンで救うが挑戦が続いている---
〈Press June 2005 WHO-186〉
WHOのワクチン研究部長Dr. Marie-Paule Kienyによれば近年、新しいワクチンが開発され、その臨床治験が行われている。2010年代には使用できるワクチンの数は、現在使われている20種類の2倍以上になるであろうと述べている。ワクチンの開発には12〜15年かかり200〜500万米ドルの費用がかかる。最近、開発されたワクチンは次のとおりである。
1)2種類のロタウイルス性下痢ワクチンで、ひとつは既にメキシコ、ドミニカ、クウエートで認可されている
2)髄膜炎菌性髄膜炎4価ワクチン(米国で認可されている)と髄膜炎A・髄膜炎Cを予防するワクチン(2007年に認可予定)
3)肺炎球菌9価ワクチンはガンビアにおける臨床治験で小児死亡率を16%下げた実績がある
4)ヒトパピローマウイルス2価・4価ワクチンは子宮頸管がんの予防が可能である
5)マラリアワクチンはモザンビークで第2相の臨床治験が実施され58%の予防効果を示した
6)経口コレラワクチンも開発されモザンビークのベイラで80%の予防効果があった
7)日本脳炎に対するワクチンがWHOで精製開発中である。結核、マラリア、エイズ、髄膜炎、鉤虫、デング熱、肺炎球菌肺炎、ロタウイルスなどに対するワクチンは、発展途上国で効果が証明されつつある。しかし問題点は、企業が利益のでないワクチンを作りたがらないことと、できたワクチンを財政難の発展途上国が買うことが出来ないという点である。
労働者の病気・事故の数が持続的に増加
〈Press April 2005 WHO-185〉
WHOとILO(国際労働機関)によれば、労働者の病気・事故の数が毎年増加し、世界で200万人以上になっている。3日以上の病欠となった労働者の事故は、毎年2億6800万人、労働者の病気は1億6千万人にもなる。
労働者が病気・事故で仕事を休んだ影響を世界のGDPでみると、約4%減少することになる。死亡につながる労働事故や致命的にはならない労働事故は、多くの地域で減少している。しかし、中国では増加しており、致命的事故数は1998年73,500人から2001年の90,500人に増加し、3日以上の病欠事故は、5,600万から6,900万人に増加している。ブラジルやメキシコでも同様の傾向がみられている。
労働者が罹りやすい病気としては、危険な物質(アスベスト、シリカ、危険薬品)の暴露により起こるがん、筋・骨格疾患、呼吸器疾患、難聴、循環器疾患、各種の病原体による感染症などがある。多くの工業国では、労働者の病気・事故による死亡者数は減少しているが、アスベスト症による死亡者は増加し、年間10万人となっている。
発展途上国では、使用されている殺虫剤で毎年7万人が中毒死を起こし、少なくとも700万人が急性または長期にわたり病気に罹っている。工業化のための建設現場では、毎年6万人が致命的事故にあっている。
WHOが母親と子供の生命を救うための新しい方策を発表
〈Press April 2005 WHO-184〉
一年間に妊娠や出産で約53万人の女性が死亡し、死産児が300万人、新生児400万人が出産後1週間以内に死亡し、これらを合計すると5歳以前の小児の死亡が1,060万人になるとWHOは報告している。毎年1億3,600万の出産があり、その三分の二は開発途上国である。5歳以下で死亡する子供の90%は次の6つの病気が原因であるとしている。
1)急性新生児疾患(全体の37%)主として早産、新生児仮死、感染症 2)下部気道感染症(19%)主として肺炎 3)下痢(18%) 4)マラリア(8%) 5)麻疹(4%)
6)HIV-AIDS (3%)などである。これらの悲惨な状況を改善するためには、再水和、抗生剤、抗マラリア薬、殺虫剤をしみ込ませた蚊帳、ビタミンAなどの栄養剤、母乳の奨励、ワクチン接種、妊娠時および出産時に熟練した看護技術による介入などを実施することにより死亡者数を減らすことができる。そのためには医師、助産婦、看護師などの多くの医療技術者を配置し、出産から新生児のケアを例外なく実施することが必要であると述べている。
麻疹による死亡者が過去5年間に世界で40%減少
〈Press March 2005 WHO-183〉
WHOとユニセフの発表によると、麻疹ワクチンの投与してきた国々において麻疹死亡者数が半減したという。麻疹死亡数が1999年には87.3万人であったのに対し、2003年には53万人に著減(39%)した。死亡率が最も減少したのはアフリカ諸国で46%であった。麻疹は小児の死亡原因として極めて重要なテーマであった。10年以前には、何百万人の小児が毎年死亡し、3000万人以上が感染し一生続く盲目と脳障害と闘ってきた。9か月から14歳までの小児に対し、麻疹ワクチン接種90%以上の達成を目標とした戦術を、各国がここ数年続けてきた成果といえる。麻疹の死亡者が激減した結果、アフリカ大陸の各地域の病院で麻疹病棟が閉鎖され、それに伴い他の疾患の治療が行えるようになった。次の大きな目標は5歳以下の小児95%に、各種ワクチンを接種し、麻疹や小児麻痺を防止すると共に、蚊・寄生虫駆除剤の散布により、これらのウイルス感染症を予防する計画を立てている。
WHOのたばこ規制枠組み条約に世界57か国が参加
〈Press February 2005 WHO-182〉
喫煙による健康被害防止のため、たばこの消費削減を目指す「たばこ規制枠組み条約」が2005年2月27日に発効した。条約に参加している57か国には23億人が生活している。WHOによると、喫煙は世界2番目の死亡原因で、喫煙が原因とみられる死亡者は世界で年間500万人にのぼる。現在、喫煙者は世界で13億人おり、そのうち半分の6億5000万人が喫煙による病気で死亡している。このまま放置すれば、喫煙が原因で死亡する人が2025年には現在の約2倍の1000万人になるという。喫煙によってほぼ全身の臓器が傷害されるが、特に肺がん、子宮頸がん、腎臓がん、心臓発作、脳卒中、冠状動脈疾患、気管支炎、喘息、不妊症などにかかりやすくなる。今回は、WHOで策定した公衆衛生に関する初の国際条約で、広告の原則禁止や、包装の30%以上を警告表示などという規制を盛り込んでいる。日本も3年〜5年以内に国内の関連法整備などを迫られている。中国、米国など「たばこ消費大国」は条約に調印したものの、批准していない。2006年2月に開く第1回締約国会議で、事務局設置や条約履行の監視体制などを決める。
津波災害を受けた東南アジアに対しWHOは病気の流行を防ぐた
め660万米ドルの必要性をアピール
〈Press January 2005 WHO-181〉
WHOは津波災害を受けた東南アジアに対し、病気の流行を防ぐため660万米ドルを必要としている。今回の津波では、水由来の感染症の流行を防止することを最重要課題としている。WHOでは3か月間に数百万錠の水浄化錠剤、基本的な医療材料を含む緊急セット200万人分、外科手術用具1万分、コレラや赤痢などの下痢性疾患患者の薬15,000人分を東南アジアの被災地に送付した。しかし、インドネシアのアチェ、スリランカの東南海岸では安全な飲料水が確保されておらず、水由来の感染症の流行が懸念されているが、現在までのところ感染症の流行は報告されていない。下痢性患者の症例は増加してきている。
フィリピンの水害で360万人が伝染性病の恐れ
〈Press December 2004 WHO-180〉
フィリピンで発生した台風の影響でマラリアや下痢などを含む伝染性病により360万人の命が危険にさらされている。フィリピン政府と国際連合が640万米ドルの援助の緊急声明を行っている。2004年11月後半から12月上旬にかけて、フィリピンの北東部に台風と熱帯嵐が連続して4回襲来し、1,060人が死亡、1,023人が負傷、559人が行方不明となり、周辺住民の360万人が影響を受けた。また、88万人が洪水により居住地よりの避難を余儀なくされている。フィリピン保健省は巡回医療移動班を作り被害の状況、精神社会的支援、環境による健康への影響などについて調査し、緊急に薬物の投与も行っている。住民の間では、下痢、上気道炎症などが顕著で、安全な飲料水の確保と衛生設備の改善が必要とされている。今後、蚊により媒介される病気、特にマラリアの増加が懸念されている。医療機関の損害は110万米ドルに達している。
WHOより初めて承認された遺伝子検査の国際標準品
〈Press November 2004 WHO-179〉
WHOの標準品を使用することにより、遺伝子検査の結果が国際的に正確で品質保証もされると"薬品の精度保障と安全"のWHOコーディネーターDr. Woodは述べている。第V因子Leidenの検査用にWHOの標準品の使用が可能になった。1994年に発見された第V因子Leidenの変異は静脈血栓を起こす際によくみられる遺伝的危険因子で、20〜40%に存在する。これは自然に起こる抗凝固機構における欠陥を誘発する。この変異の有無を調べることによりこの遺伝子の1コピーまたは2コピーを持つ人は、7〜80倍で血栓を起こすリスクがある。この第V因子Leiden変異と飛行機を使った旅行者の深部静脈血栓との関係を調査中である。2002年にEUでは遺伝子検査が70万以上実施されている。第V因子変異の遺伝子検査に対して、WHOの国際標準品が決められたことにより、遺伝子検査の精度と品質管理が大きく前進する。
心臓病と脳卒中に関する世界のデータ集がWHOより出版
〈 Press October 2004 WHO-178〉
毎年、不衛生な食物や食事によって、世界中で少なくとも20億人が病気になっている。食物由来疾患を減少させ予防するために、簡単で効果的な戦略をWHOが考えだした。この5つの戦略は食物や食事を準備する際に、家庭や職場のどこでも実施できる。その戦略は1)ヒトの手と調理する食物の表面を清潔にする 2)なまの食物と火を通して料理した食物を分離する 3)十分に熱を通して料理する 4)安全な温度で食物を貯蔵する 5)清潔な水・生ものを使用することなどである。この5つの戦略をアルゼンチン、ボリビア、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ニカラグア、バングラデシュ、ブータン、インド、インドネシア、モルディブ、ネパール、チモールなどで、食物由来疾患の発生を減少させることを目的で実験している。マニュアルは25か国語に翻訳されている。
心臓病と脳卒中に関する世界のデータ集がWHOより出版
〈Press September 2004 WHO-177〉
WHOが米国CDCと協力の下に、心臓病と脳卒中について世界のデータ集を発刊した。心臓病と脳卒中の死亡者は、世界中で年間1700万人おり、全死亡者の三分の一を占めている。2020年には年間死亡者数は2000万人、2030年には2400万人に増加するといわれている。
心臓血管病は従来、先進国の中年肥満男性がかかると言われていたが、現在では男性、女性、子供年齢を問わず全ての人に起こる。高度の治療を受けても死亡率を減少させることはできないので、子供の頃から予防することが必要である。健康的な生活習慣を身につけ、危険因子を除去することである。危険因子としては、高血圧、喫煙、運動不足、肥満、糖尿病、脂質代謝異常などである。
エイズワクチンを世界的規模で臨床試験を行うために若年女性
の参加が必須
〈Press August 2004 WHO-176〉
スイスのローザンヌで8月26〜28日に行われたエイズワクチンの臨床試験に関するWHO会議に世界中から40人の専門家が集まった。エイズ感染はサハラ以南のアフリカ諸国で流行し、若年主婦と少女の感染率が男性に比べて6倍も高い。発展途上国の15〜24歳の若年者のうち、62%がエイズまたはHIVに感染している。毎年、300万人の小児と成人がエイズ感染で死亡している。エイズ感染を予防するためには、エイズワクチンの投与が必須であり、過去4年間で30種類以上の新しいHIVワクチンの臨床試験が19か国で開始されている。ところが、エイズワクチンの臨床試験に最も感染率の高い若年女性の参加が少ないので困っている。エイズワクチンの臨床試験に参加しない理由は、自分自身で決断ができない、エイズの教育がされていない、社会的に隔離されている、差別を受けている、妊娠をしている、両親の承諾など多数あるが今後、改善すべきである。
イランのバムの大地震で救助された人に緊急援助が必要
〈Press December 2003 WHO-175〉
イランのバムの大地震では26,700人が埋まり、30,000人が外傷を受け、12,000人が病院に入院した。合計90,000人の住民の20,000家屋が地震で崩壊した。夜間の温度の低下、不潔な水、不衛生な環境、多数の怪我をした患者などに対し十分な対応ができないため、住民の健康上の危険性が増大しており、衛生物品と薬品が緊急に必要である。バムにある主要な複数病院、数種類の健康クリニックは倒壊し、多くの医師および看護師が死亡または外傷を受けた。これらの医療施設を再建するためには、少なくとも2500万USドルが必要である。WHOでは350万USドルを地震の生存者の健康管理に用いることにしている。
WHOとUNAIDSによるエイズ感染者に対する3/5戦略
〈Press December 2003 WHO-174〉
WHOとUNAIDSが企画した3/5戦略とは、2005年末までに発展途上国のエイズ感染者300万人に抗エイズ薬を投与して治療するという意味である。抗エイズ薬としては、lamivudine、stavudine、nevirapineという3剤を併用する療法である。この戦略を進めるにあたっては、ブッシュ米国大統領による150億ドルの援助、NGOの協力、製薬会社による低価格エイズ薬剤の供与、ビルゲイツ財団よりの寄付などの協力から成り立っている。現在、発展途上国ではエイズウイルスに600万人が感染しているが、抗エイズ薬剤での治療を受けているのは毎年わずか40万人にすぎず、他の未治療者は死亡するのをただ待つだけである。今回の企画は抗エイズ薬を効果的に投与するために、単純化、標準化、エイズ教育などに力を入れて実施することになる。
イラク復興国際会議ーイラクの医療環境改善の費用は1人当たり
1年間14米ドル必要ー〈Press October 2003 WHO-173〉
WHO事務局長Lee博士はイラクの医療面での復興はアフガニスタン、チモール、カンボジアなどと同じように長期間にかかると述べている。イラクでは小児および妊婦の死亡率が異常に高い。今回のイラク戦争で病院の12%は部分的に破壊され、7%は備品が略奪され、家族計画保健施設は30%以上が破壊された。バクダットとバスラにあるイラクの2大公衆衛生研究所も破壊された。病院、保健施設、第1次保健センターは冷蔵庫、家具、空調などの必需品が略奪されてしまった。過去3カ月に亘りWHO、UNICEF、世界銀行が協力してイラクの保健施設を復興させるためにイラク政府の役人と話し合っている。イラクにおける医療サービスについては、250の病院と1,200のクリニックがあるが、産科緊急患者はこれらの施設の3分の1しか診察できない。医者の数は充足されているが、看護師が非常に不足している。このような状況下では、出産の3分の1は自分たちで処理している。このような劣悪な医療環境が新生児の出生に関しては、10万人につき300人が死亡するという悲惨な状況になっている。2004年から2007年の4年間に16億米ドル(1年間に1人14米ドル)が必要となる。
オゾンの減少により小児におよぼす紫外線の悪影響と学校での教育プログラム
〈 Press September 2003 WHO-172〉
オゾンの減少による紫外線の増加は小児に多大な悪影響を与える。すなわち小児の皮膚に悪性腫瘍や良性腫瘍、白内障などが紫外線によって惹起されるので、保護しなければならない。WHOとUNEP(国連環境プログラム委員会)は「学校における健康増進のために基本的に太陽光線の防止が必要」という文書を発表し、推奨している。最近の科学的観察によるとオゾン層は少しずつ回復しているが、紫外線の防止についてはこれから先も取り組まなければならない。この資料は「太陽に対する教育プログラムを効果的に行うために学校や先生に対するガイド」、「生徒に実際的な教育をするための資料」、「太陽についての教育プログラムが小学校で効果があるかどうかを評価する資料」の3冊に分かれている。
エイズウイルス感染者に対してWHOが抗結核剤の利用を呼びかけ
〈 Press July 2003 WHO-171〉
エイズウイルスと結核は混合感染をおこしやすく、エイズ患者の最大の死因は結核となっている。エイズ患者で結核に感染している人にはATD(INH、リファンピシン、PZA、エタンブトール)の混合投与をWHOは推奨しており、ATDを投与すると95%の患者に効果がある。WHOによるとエイズウイルス感染者が結核に感染する割合は年々増加し、特にアフリカではエイズ患者の70%以上が結核に感染している。エイズウイルス感染患者4200万人のうち、三分の一は結核に感染しており、そのうち約90%は結核の治療を受けないと2〜3カ月で死亡する。一人当たりATDの治療費は10米ドルに過ぎないので、WHOは途上国でのATDの投与を推奨している。
アフリカのエイズワクチン実施プログラムに2億3300万米ドルが必要
〈Press May 2002 WHO-170〉
HIV感染者の3分の2はアフリカに住んでいるにもかかわらず、アフリカ人に対するワクチン投与の治験は4,100万米ドル(1.6%)にしか過ぎない。1987年以来、世界30か所以上でHIVワクチンの治験が実施されているが、そのうち僅か2つがアフリカで実施されているに過ぎない。アフリカに存在しているHIVそのものが、アジアやアメリカにある種類と違う場合もあるため、現在、治験されているワクチンがアフリカ人患者に効果があるかどうかもわからない。西アフリカの15か国が年間5万ドルを供出して、ナイジェリアとタンザニアにおける国家的なエイズワクチン投与計画をサポートすることになった。エイズが発見されて21年経過するが、世界中で4,000万人がHIVウイルスに感染し、その70%はアフリカ人である。毎日15,000人の新しいHIV感染者が出現し、そこからエイズが発生するが、その95%は発展途上国にいる。今後、長期にわたるエイズワクチンの投与が低開発国においては必要である。
皮膚癌と白内障の危険を減少させるために
〈Press July 2002 WHO-169〉
太陽の紫外線に過度に露出すると皮膚癌と白内障と言う2つの大きな健康問題に直面する。世界中で毎年、皮膚癌が約2〜300万人、メラノーマが少なくとも132,000人発生している。1970年代から皮膚癌の発生率が著明に増加してきた。その理由は、ライフスタイルの変化で日光下での行動が多くなり、それが皮膚癌の増加に影響があるようだ。紫外線を防御するフィルターの役をしているオゾン層の欠如がこの問題をさらに悪化させている。WHOによれば最も簡単で経済的な防御法は、長袖のシャツに帽子、サングラス、サンバイザーが効果的で、日中には窓に日よけ用のスクリーンをつけることにより、状況を著しく改善することができる。数か国においては、これらの手段により皮膚癌を70%減らすことができた。日光曝露で白内障による視覚喪失者が200万人以上発生する。紫外線が免疫機能を破壊し、感染症にかかるリスクを高め、接種したワクチンの効果を弱めている。1997年に教育的見地から太陽紫外線指数(UVI:Global Solar UV Index)が新聞、ラジオ、テレビなどの天気予報の際に発表されているので利用されるとよい。
内臓レーシュマニア症に対して95%の治療効果のある新治療法が開発される
−レーシュマニア症に対する初めての経口剤がインドで治療開始−
〈Press June 2002 WHO-168〉
年間50万人いる内臓レーシュマニア症(黒熱、カラアザールとも呼ぶ)患者が、新しい治療法で助かるようになった。ドイツの「Zentaris社」が開発した新薬はミルテフォシン(Miltefosine)で、毎年死亡している6万人の患者の命を助けることができる。この薬は現在の治療法に比べて安価で、投与法も簡単で臨床治験の結果では患者の95%を治癒させることができた。内臓レーシュマニア症が世界の中の半分を占めるインドで使用することになり、インド政府は2010年にはこの病気の撲滅を目標としている。内臓レーシュマニア症は、Leishmania donovani, L. infantum, L. Changesiの感染で発熱・肝脾腫・汎血球減少症などをおこす。88か国、3億5000万人が住んでいる地域が汚染されている。そこで働いている労働者、兵士、教会関係者、観光客などが感染する恐れがある。ブラジルでの大流行は、農村に住んでいた大家族が都会に移住してきたために発生した。内臓レーシュマニアは、最貧国で発生し、治療しなければ100%死亡する病気である。インド、バングラディッシュ、ブラジル、ネパール、スーダンの5か国での患者は90%を占める。
新しい癌の報告書によれば患者と社会に希望が持てる
〈Press May 2002 WHO-167〉
各国で現在の知識を利用して癌の予防と治療に経済的な効率を考えれば多数の患者の命を救うことができるという報告書が出版された。そのタイトルは「国内の癌撲滅プログラム:政策と管理ガイドライン」で、世界中で毎年診断される新しい癌患者1,000万人のうち3分の1は予防が可能で、残りの3分の1は早期発見と早期治療により効果的に治療できる。最後の3分の1の症例は、効果的な緩和療法により癌の苦痛から開放できると述べている。今までの多くの症例は予防、早期治療、緩和療法が無視されて、治療にのみ重点が置かれ、その治療が実際に経済的効果があるか、患者のQOLを改善しているかについてはほとんど考慮されていなかった。毎年世界で600万人が癌で死亡し、1,000万人の新しい癌患者が発生している。癌は世界中で全死亡率の12%を占めており、先進国では心臓病に次いで2番目に多い病気である。WHOの推測では20年後には癌死亡者数が1,000万人となり、年間の新しい癌患者は1,500万人に増加する。各国が予防、早期発見、診断、医療、緩和療法をバランスよく行うプログラムを作ることにより癌の治療効果はあがる。
エイズ患者300万人は2005年までに抗ウイルス剤の投与が可能になる
〈Press May 2002 WHO-166〉
WHOの推定では今日600万人のエイズ患者が、抗ウイルス剤を含む治療を必要としている。しかし発展途上国では治療が必要な人のわずか5%以下(23万人)しか治療を受けていない。これらの治療が受けられる人の半数は、ブラジル人である。アフリカではエイズが流行しているが、5万人以下(2%以下)の患者しか抗エイズ剤の治療を受けられない。
WHOでは300万人のエイズ患者が、2005年までに抗エイズ剤の投与が受けられるようになると予測している。WHOでは2002年4月に12種類の抗エイズ剤についての基本的な利用リストを作成し使用法を単純化した。その理由は、エイズ治療のガイドラインが単純化され、どこの施設でもどの医師でも利用できるような治療法になったからである。アメリカでは1996年に3種混合のエイズ療法を取り入れることにより死亡者の数が70%減少した。ブラジルでもエイズ療法により73%死亡者が減少した。
WHOによる伝統代替医学・医療に対する最初の調査
〈Press May 2002 WHO-165〉
アフリカでは、約80%の人が伝統医学を用いている。裕福な欧米諸国でも多くの患者が予防のために代替医学・医療に頼っている。フランスでは人口の75%が少なくとも1回はこの代替医学・医療を用い、ドイツではペインクリニックで77%が針治療を受け、イギリスでは年間23億米ドルが代替医学・医療に用いられている。しかし、伝統医学・医療が正しくに用いられないと、色々な問題が起る。中国で伝統的に用いられている麻黄という薬草は肺うっ血の患者に短期間使用されてきた。一方、米国ではこの薬草をダイエットの補助剤として市販されおり、これを長期間使用したために、心臓発作や脳卒中による死亡者を出している。ベルギーでは、ダイエット補助剤として薬草を摂取したために約70名の患者が腎間質性線維症にかかり、腎臓の移植や透析を行わざるを得ない状態となった。世界的規模でみると、代替医学・医療は600億米ドルにもなり毎年増加している。
妊婦の致命的なけいれんを安価な薬で予防
〈Press May 2002 WHO-164〉
子癇は妊婦である母親とその子供、両方を死亡させる恐ろしい病気である。安価な硫酸マグネシウムが子癇の致命的なけいれんを予防し、発症を半減させることが「ランセット誌」(2002年5月31日号)で明らかにされた。今回の治験では、33か国で1万人の前子癇患者を調査し、これらの患者が子癇になったり、けいれんを起すかどうかを調査した。
前子癇患者および子癇患者は世界中で妊婦の3%に発生し、妊娠による死亡者の12%(6万人)にもなる。今回の治験でも前子癇患者の約2%が子癇に移行している。前子癇患者を治療し、子癇によるけいれんを防ぐ唯一の方法は早期に出産させることである。抗けいれん剤、抗てんかん剤、硫酸マグネシウムが子癇の予防に広く使われてきたが、妊婦4,968名に硫酸マグネシウムを注射したところ、子癇の発生が58%低下し、死亡の危険性も45%低下させることが判明した。硫酸マグネシウムには副作用が見られなかったことにより、低開発国の妊婦に使われることを期待している。
公害由来の疾患が多数の小児を死亡させている
〈Press May 2002 WHO-163〉
UNICEF、WHO、UNの三団体の調査では、世界中で毎日5,500人の小児が細菌に感染した飲料水や食物の摂取により病気となり死亡している。これらの病気は下痢と急性呼吸器感染症を起こす。WHOによれば地球上の病気の約3分の1は環境破壊の危険因子により発生している。このうち40%が5歳以下の小児の疾患(世界人口の約10%)である。主な原因は栄養不良で、栄養不良と下痢がくり返される。下痢を引き起こす微生物が小児の腸壁を損傷するために、摂取した食物の消化や吸収が妨げられて病気になる。この他、毒性の化学薬品や自然食品の欠乏などが小児に影響を与え病気を起こす。鉛入りガソリンによる鉛中毒で、小児は神経疾患や発育障害を起こす。農業の現場で働いている小児は殺虫剤の危険性にさらされている。天候の劇変およびオゾン層の欠如のような地球上の環境問題に小児が大きな影響をうけ病気になっている。
静脈血栓と飛行機旅行による因果関係をWHOが研究
〈Press May 2002 WHO-162〉
WHOは静脈血栓と飛行機旅行による因果関係を4年かけて研究する。目的は飛行機旅行者の血栓症の頻度と原因を解明し、予防に結びつけるもので主に英国と他のEU諸国が研究する。
毎月20万人にも及ぶ飛行機旅行者について疫学的な研究により、血栓症の頻度と予防策を考える。最近病気になった人、手術を受けた人、外傷を受けた人、遺伝的特性を持つ人などについても検討する。乗客の利用したクラス、飛行機内での行動、例えばアルコール摂取、足の運動、圧迫靴下の使用など、さまざまな要因についても調査する。
原因となるメカニズム、例えば客室内での気圧と空気の減少が静脈血栓症にどのようにかかわっているかを病態生理学的に研究する。効果的な予防手段と一般乗客に対する防御策の完成を目指す。
エイズ、結核、マラリアの駆除
〈Press April 2002 WHO-161〉
ニューヨークでWHOや国際連合などの専門家がニューヨークで集まり、エイズ、結核、マラリアに対して世界規模で撲滅運動を行うことが決まった。これらの3つの病気は最貧国の子供を直撃し、適切な治療なしには病気の重荷から逃れることができない。今回の会議の報告によると、新しいHIV感染者の半数は若者であること、サハラ砂漠以南のアフリカではHIV感染者が最も多く、次いでカリブ海地域に流行し、東ヨーロッパと中央アジアで急増していることが指摘されている。
HIV感染と結核は死の組み合わせである。全世界の人口の40%はマラリア感染の危険性がある。これらの3つの疾患に対して予防と治療を組み合わせて実行することが重要である。
その他、発展途上国で以下のことが問題となっている。すなわち若者の間ではHIV感染についての知識がほとんどないこと、エイズ患者の5%以下しか治療を受けていないこと、結核患者では20%のみが適切な治療を受けているに過ぎないこと、アフリカ28か国では、現在市販されている抗マラリア薬剤の半数は品質が悪く、薬剤耐性もあり効果がないことも報告された。発展途上国でこれらの3つの疾患を減少させるためには81億米ドルが少なくとも必要であり、現在、目標額の11%しか集まっていない。
WHOによるエイズ患者の治療法のガイドライン
〈Press April 2002 WHO-160〉
20年前にエイズが報告されて以来、2,000万人以上の患者がHIV感染症で死亡している。現在、世界中で4,000万人のHIV感染者がおり、その90%は発展途上国に住んでいる。2001年には、世界にHIV感染者が500万人、エイズ死亡患者が300万人いた。HIVに感染しても、3〜10年間は治療しなくても元気であるが、放置しておけば、2年間以内に死亡する。先進国にはHIV感染者が150万人おり、その多くの患者は抗ウイルス剤の治療を受けている。1996年にアメリカで抗ウイルス剤を3剤組合わせ投与するようになって、エイズ患者の死亡率が70%減少した。
エイズ患者で治療を必要とする人は約600万人と予想している。発展途上国ではエイズ患者の5%以下が治療を受けているに過ぎない。2005年までに治療が必要とする人は少なくとも300万人いると予想される。これらの現状を踏まえ、エイズ感染に対する新しい治療のガイドラインを作成した。
その内容は抗エイズ剤として、nevirapineとzidovudineは以前は母子感染防止に使用されたが、今回は成人と小児のHIV感染者の治療に使用されることになった。新薬としてabacavir, didanosine, efavirenz, indinavir, lamivudine, lopinavir,nelfinavir, ritonavir (低濃度), saquinavir, stavudineがリストアップされた。これらの薬物を組合わせることによりエイズ患者の寿命とクオリティオブライフを改善することができる
環境危険因子により5歳以下の子供300万人が毎年殺傷
〈Press March 2002 WHO-159〉
WHOは不衛生で飲料に適さない水、室内空気汚染、事故、外傷、中毒などの原因により、毎年、5歳以下の子供300万人が殺傷されていることを指摘した。
発展途上国では2000年度に、5歳以下の子供130万人が不衛生で飲料水に適さない水を飲み、下痢性疾患で死亡している。地球サミット後の5年間で5歳以下の子供が毎年220万死亡しており、その60%が室内空気汚染、冷暖房の欠如、不衛生な生活環境などにより急性呼吸器感染症で死亡している。偶発的な事故、例えば交通事故、水死、火傷、中毒死などで5歳以下の子供が毎年40万人死亡している。この他、鉛、水銀、殺虫剤、有機汚染物質、化学薬品なども環境危険因子に含まれる。間接喫煙、X線照射、気候の急変、食物の品質・安全についても問題が提起された。
アジア各国の政府に対し専門家がガソリン中の鉛を除去することを提言
〈Press March 2002 WHO-158〉
タイのバンコクで行われた専門家会議は、環境面、および健康面の配慮からガソリンから鉛を早急に除去することをアジア各国の政府に対し求めた。欧米ではガソリンから鉛を除去したことにより、子供の血中鉛濃度が90%減少し、鉛中毒を30〜40%も減少させた。タイでも無鉛ガソリンを用いることにより、バンコクの子供の血中鉛濃度を減少させている。アジアには世界人口の半分以上が住んでいるが、そのうち18歳未満が40%を占めている。子供の健康、知能、地域経済活動に対して、鉛が大きな障害を与えている。
工場から排出される未処理廃棄物は埋立地や排水溝に流されるため、スラムに住んでいる子供や川・運河で水浴びをする子供の健康を損ねている。農薬散布や殺虫剤が農業で使用されているため、DDTのような毒性化学物質が食物に混入する危険性も増している。室内での間接喫煙や家庭内で燃料を燃やすことによる空気汚染も問題となっている。飲料水に塩素が高濃度に混入している場所では、歯や骨が損傷され、中国では何百万人という人が被害を受けている。バングラディッシュでは砒素が含まれている地方の井戸水により子供が皮膚病にかかっている。
WHOが国際的な旅行者に対する健康相談の標準案内書を作成
〈Press February 2002 WHO-157〉
WHOが旅行者に対する健康相談の新しい標準案内書を作成した。この本は旅行者にとって最も重要な30種類以上の感染症とり上げ、その危険性と予防対策を記載している。旅行者にとって危険なのは、全く新しい病気が出現したり、これらの病気が今までなかった新しい地域へ広がったり、薬剤耐性菌の出現がみられたりすることである。国際的に旅行者の行動範囲が飛躍的に拡大したため、病気に感染する頻度は高くなっている。2000年には飛行機による旅行者が16億人以上になった。飛行機の客室内での酸素の供給、体の中での酸素の拡散、低湿度、長時間に亘る運動制限などにより循環器障害がおこり、深部静脈血栓から肺血栓塞栓症に至るエコノミークラス症候群についても記載している。
100以上の国から毎年1億2500万人が旅行しているが、マラリアに感染する恐れがある。マラリアの予防薬の服用は不必要であることも強調している。種々の病気にワクチンは効果的であるが、マラリアとエイズについては開発中である。1998年には100万人が交通事故で死亡し、1000万人が身体に障害をうけている。その他、毎年50万人が毎年、溺死しているとこの案内書には書かれている。
WHOが北半球のインフルエンザワクチンの構成成分を決定
〈Press February 2002 WHO-156〉
WHOは北半球におけるインフルエンザの流行を予防する努力をしている。インフルエンザは1918〜1919年には「スペイン風邪」と呼ばれ全世界に爆発的に広がり、世界の人口の約半分にあたる4,000万人が感染したとされている。北半球では現在、毎年1億人がインフルエンザに感染している。インフルエンザにかかると高熱、頭痛、咳が数日続き、その後回復するのが一般的であるが、高齢者や慢性疾患患者が感染すると入院したり、場合によっては死亡することもある。WHOでは来年度のインフルエンザワクチンの構成成分を世界のインフルエンザ専門家と共に決定した。2002〜2003年の北半球のワクチンの構成成分は下記の通りである。
・an A/New Caledonia/20/99(H1N1)-like virus
・an A/Moscow/10/99(H3N2)-like virus
・a B/Hong Kong/330/2001-like virus
アフガニスタンの復興成功は健康支援
−WHOが健康支援を実施−
〈Press November 2001 WHO-155〉
パキスタンのイスラマバードで2001年11月27日〜29日にWHOや国際機関の代表が集まり、アフガニスタンの健康に関する討論会を行った。そこでアフガニスタンにおける健康支援を次の5項目に絞った。1)妊婦の健康:アフガニスタンでは30分に1人の割合で妊娠合併症で妊婦が死亡している。女性の医師、看護婦、助産婦、臨床検査技師、放射線技師、薬剤師、歯科医、理学療法士などが極端に不足している。2)小児の健康:アフガニスタンの小児の4分の1は5歳未満で死亡する。急性栄養失調症は約10%、慢性栄養失調症は50%にもなるため、子供は病気にかかりやすい。予防接種も必要である。小児の急性呼吸器疾患や下痢症の予防も必要となる。そのために安全な飲料水や衛生設備が改善されなければならない。3)感染症の予防:アフガニスタンでは毎年7200人の新しい結核患者が予測されており、DOTSをはじめとする抗結核剤の投与が必要となる。マラリア、コレラ、麻疹、腸チフス、髄膜炎、出血熱などがアフガニスタンの全土で発生し、多数の人が死亡している。そこで病気に対する早期発見システムと適切な治療が必要となる。4)メンタルヘルス:アフガニスタンでは22年間も戦争状態であったため200万人以上が精神障害の疑いがあり、この人達の救済が必要である。5)外傷:戦争などで外傷となる人の手当が必要である。これらの健康上の問題点を改善するためにWHOは約200人の専門家をアフガニスタンに投入して医療活動を支援している。
東ヨーロッパでエイズの流行が急速に進行
〈Press November 2001 WHO-154〉
東ヨーロッパのHIV感染者は急速に増加している。数字でみると過去3年間、ロシアでは75,000名と15倍に増加した。HIV感染者は東ヨーロッパ全土に拡大し、2001年だけでも25万の新患者が発生している。アフリカでも流行し、2001年には340万のエイズ新感染者が発生し、230万人が死亡している。スワジランド、ボツワナ、南アフリカの一部では、妊婦の30%がHIV陽性である。西アフリカで最も人口の多い国家 (ナイジェリアを含む)は、以前エイズの低感染国であったが、現在は感染者が5%以上に増加した。
先進国ではエイズの治療が進んでいるが、予防が遅れているため、危険な性交渉が増加し、HIV感染を含む性行為感染症が増加している。一部の国で予防対策が実施されているにもかかわらず、アジアではエイズ感染者数が増加し続け、新感染者は100万人に達した。
サハラ砂漠以南のアフリカ諸国では、2020年にはエイズのためにこGDPが20%の低下すると予想されている。また、多くの国で教育システム、住民管理、公共医療サービス、農場などに対しエイズが重大な影響を与えている。今後、若年者間のHIVの広がりを効果的に防止するためのプログラムを早急に取り入れるのことが重要である。
20年間のエイズの流行にもかかわらず、数百万人の若者は、エイズの流行を知らない。多くの人がエイズという言葉を一度も耳にしたことがない。エイズ感染を防止するために、エイズの情報と適切な性交渉を若年者に提供することが重要である。
各国でたばこ広告の取り締まりが必要
〈Press November 2001 WHO-153〉
WHOによると、1999年には400万人、2000年には420万人がたばこで死亡する。今世紀には、10億人がたばこが原因で死亡すると予想されている。今世紀の最初の20年には発展途上国で1億5000万人が死亡し、10人のうち7人がたばこによる死亡となる。3億人いる中国人0〜29歳の男性の3分の1はたばこにより死亡する。
British American Tobacco(BAT)会社は、「国際的なたばこ製品マーケティングの標準化」というタイトルの新しい広報のグローバルキャンペーンを始めた。同時に競合するPhilip Morris社や日本たばこ会社もこのキャンペーンに協力している。また、たばこ会社は子供や無喫煙者に対する広告活動を自粛することも合意した。しかし、米国、カナダ、英国では、たばこ会社による広告の自主規制では小児や若年者の喫煙者の増加はくい止められなかった。たばこ会社は、ラジオ、テレビ、インターネット、映画での広告を再開しようとしており、自浄作用は期待できない。
そこでWHOは、若年、老人、喫煙者、非喫煙者を問わず、人々の健康を保護するために、たばことたばこ製品の広告の取り締まりを世界の191カ国に求めている。
WHOは1200万ユーロの予算で飛行機旅行時に発症する静脈血栓症の研究プロジェクトを決定〈Press August 2001 WHO-152〉
最近、フライト後の静脈血栓症の症例が増加している。WHOは飛行機旅行と静脈血栓症の研究調査をする。飛行機旅行における静脈血栓症の原因、メカニズム、頻度などを研究調査する。このプロジェクトには1200万ユーロが必要で、完成するのに2年半が必要である。研究プロトコルは出来上ったので、それに沿って飛行機旅行と静脈血栓症の関係を検討するための協議会を立ち上げた。そのメンバーは、科学者、定期航空会社の医療担当者、運輸省の代表、乗客の代表である。各国の政府がこの資金を出資する。研究の結果が出るまでは、飛行中は飲酒を減らし、適量の水分を摂取し、ゆるい衣服を着て、着席中に足の運動をすることが効果的と考えている。
WHOの要請により抗結核剤の価格が最大94%削減〈Press July 2001 WHO-151〉
WHOの要請により多剤耐性結核(MDR-TB)患者用に低価格の抗結核剤が開発された。WHOが製薬会社と協力して、現在、MDR-TB患者1人にかかる治療費19,000米ドルを大幅に削減させることができた。この新しい抗結核剤をMDR-TB患者に使用することにより、最大94%削減できた国もある。
WHOのBrundltand事務総長によれば、国際的要望で抗結核剤の価格を下げ、有効利用することによりMDR-TB患者を救うことができる。
毎年、結核のため170万人が死亡している。近年、アメリカ合衆国、ヨーロッパ、ラテンアメリカなどの公共機関(病院、刑務所、ホームレスのシェルター)でMDR-TBが突発的に流行し多数の人が死亡している。
開発途上国により多くの補聴器を提供したい〈Press July 2001 WHO-150〉
WHOは開発途上国にいる聴力障害者に低価格の補聴器を提供するよう補聴器メーカーに呼びかけた。聴力障害者は全世界で2億5000万人いる。WHOは補聴器メーカー、サービスプロバイダー、聴力障害者を集め、開発途上国で補聴器が入手可能になるための会議を7月11〜12日に開催した。開発途上国での補聴器の価格は現在、200〜500米ドルと高値であるためほとんど利用されていない。普及するには補聴器1台10〜20米ドルに下げることが必要である。
補聴器の使用により聴力を回復できる人は世界で2億5000万人おり、その3分の2は開発途上国にいる。補聴器の年間生産高は、需要の10%未満と考えられている。
補聴器の数不足と高価格である以外に、補聴器を耳に合せるサービスマンもいないことも問題である。7月に発表されるWHOのガイドラインでは、安価な補聴器の製造、サービスマンの訓練などが必要であるとしている。開発途上国の人々は若年者でも聴力障害が起こり、その原因が中耳炎や髄膜炎であることが多い。
子供が聴力障害になると、言語や認識に影響を与える。聴力喪失(耳毒薬の使用、慢性中耳病患、過度のノイズ)を防止すると共に、聴力訓練のトレーニングも必要である。
成人女性と少女が罹患するたばこ関連疾患の防止をWHOが要望〈Press May 2001 WHO-149〉
成人女性と少女が罹患するたばこ関連疾患は、若い女性がたばこを早くから吸い始めることや、数百万人の女性が受動喫煙により被害を受けているのが原因と考えられている。
WHOのBrundtland事務局長は、「受動喫煙は健康上の重要な問題である」と述べている。アジア地域では、60%以上の男性が喫煙者であるため、数百万人の成人女性や子供が受動喫煙によるたばこ関連疾患で苦しんでいる。親が喫煙すると子供はぜんそく、乳幼児突然死症候群、気管支炎、風邪、肺炎などに罹患し易い。世界的な統計では女性が約12%、男性が約48%が喫煙している。女性の喫煙率が24%と高い国もある。女性の喫煙率が高い国では、男性と同様、たばこ関連疾患で死亡する人が増えている。
妊娠女性では喫煙や受動喫煙の影響で流産や低体重新生児出産を起こしやすく、他の感染にもかかりやすくなる。成人女性喫煙者は、不妊症、早期閉経、骨密度の減少などをきたす。喫煙女性がたばこ関連疾患として肺、口腔と咽頭、食道、喉頭、膀胱、すい臓、腎臓、子宮頚部などにがんが発生し大きな問題になっている。各国は、公共の場所での喫煙禁止とたばこ広告の禁止を行うべきである。
たばこは子供の権利を妨害する〈Press April 2001 WHO-148〉
WHOは「たばこと子供の権利」というリポートを発表し、子供をたばこの害から守るよう各国に要請している。毎年、約400万人がたばこ関連の病気にかかっているが、2030年にはたばこによる死者は1年間で1,000万人にもなると予想されている。たばこの犠牲者の多くは子供である。もし現在のペースでたばこの消費が続くとすれば、将来2億5000万人の子供がたばこ関連の病気にかかり死亡することになる。大多数は少年時代にたばこを吸い始めて、ニコチン中毒になり成人になってもやめられない状況になっている。たばこ会社が1年あたり数十億米ドルの広告費を使うことにより、子供が喫煙に走る。
たばこは子供に対する直接的な喫煙の悪影響だけでなく、間接喫煙も問題である。約7億人(全世界の子供の半分)が、間接喫煙により汚染した空気を吸っている。
アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、インドネシア、マラウイ、米国、ジンバブエなどでは、子供がたばこを生産する仕事に携わっている。たばこ消費を抑制することで、子供の権利妨害の防止、健康と福祉を増進させることになる。
エイズウイルスが原因でおこる結核の感染者数がアフリカで倍増〈Press April 2001 WHO-147〉
アフリカではエイズウイルスによる結核の感染者数が毎年10%ずつ増加している。1999年にはアフリカの結核患者数は約200万人で、そのうち三分の二はエイズウイルスが原因であった。2005年にはアフリカの結核患者数は330万人にまで増加し、すぐに400万人を超えるであろうと専門家は推定している。
エイズウイルスの感染を減らすことは結核の流行を減らすことにもなる。サハラ砂漠以南の国ではエイズウイルス感染者の50%以上が結核に感染している。アフリカでは結核とエイズウイルス感染のコントロールが最も重要な課題である。また、エイズウイルス感染者で結核に感染している患者は計画投薬を行わなければ、耐性結核菌を容易に獲得することになる。結核患者にはDOTS療法が必須である。
ゲイツ財団が結核症の新しい診断法の開発に100億ドルの賞金〈Press April 2001 WHO-146〉
世界結核デーの3月24日の前夜、ビルとメリンダ・ゲイツ財団は結核症の新しい診断法の開発に100億ドルの賞金を出すと発表した。結核症は途上国では毎年200万人が死亡し、HIV感染患者の約半数が罹患している。結核症は全世界の疾病死亡の5%を占め、15〜59歳代では9.6%を占める。母親における死亡率も高い。全世界の結核症のうち80%は22か国で発見され、その半数以上は東南アジア5か国で見られる。結核症の高感染率10か国のうち9か国はアフリカにあり、そこではHIV感染が蔓延している。未治療の結核症患者の約50%は死亡する。結核症の診断は100年前のRobert Kochの時代から殆んど進歩していない。現在の診断法は遅く煩雑で費用もかかる。もっと低価格で高感度の診断が望まれている。この賞金は5年間に亘る研究助成金であり、結核症の迅速で簡便な診断法が開発されることにより、耐性菌の検出もでき、適切な治療が迅速に出来ることを期待している。
ヨーロッパにおける若者の死亡率の第一位はアルコール〈Press Feb. 2001 WHO-145〉
アフリカではエイズウイルスによる結核の感染者数が毎年10%ずつ増加している。1999年にはアフリカの結核患者数は約200万人で、そのうち三分の二はエイズウイルスが原因であった。2005年にはアフリカの結核患者数は330万人にまで増加し、すぐに400万人を超えるであろうと専門家は推定している。
エイズウイルスの感染を減らすことは結核の流行を減らすことにもなる。サハラ砂漠以南の国ではエイズウイルス感染者の50%以上が結核に感染している。アフリカでは結核とエイズウイルス感染のコントロールが最も重要な課題である。また、エイズウイルス感染者で結核に感染している患者は計画投薬を行わなければ、耐性結核菌を容易に獲得することになる。結核患者にはDOTS療法が必須である。
抗結核剤の少量投与が耐性菌の流行を阻止する〈Press Jan. 2001 WHO-144〉
全世界で毎年800万人の結核患者が発生し、少なくとも年間200万人が死亡する。これらの結核の80%はアジアやアフリカの22の感染国で起こっている。現在、結核の治療に使用されているのは数種類の薬剤併用療法である。結核患者には少なくとも2か月間は1日につき16薬剤を服用させ、その後4〜6か月間は1日9錠投与
していた。大部分の患者はこのような長期投与に耐えかねて中止してしまい、これが結核菌の薬剤耐性が拡大する原因になっている。WHOでは4種類の薬剤を少量
16日間投与し、薬剤耐性菌の広がりを防止することにしている。
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