市民の皆様へ
 
レジオネラ感染症について

  Q1:レジオネラ感染症はいつ頃発見されたのですか?
  Q2:レジオネラ菌はどこにいますか?
  Q3:レジオネラ菌はどのような特徴をもっていますか?
  Q4:レジオネラ感染症の症状はどのようなものですか?
  Q5:国内外における最近のレジオネラ感染症の事例を教えて下さい?
  Q6:レジオネラ菌の検出率はどのくらいですか?
  Q7:レジオネラ感染症の診断はどのようにしますか?
  Q8:レジオネラ感染症にかかり易いのはどんな人ですか?
  Q9:レジオネラ感染症の治療法はどうなっていますか?
  Q10:レジオネラ菌に関して、厚生労働省の省令では浴槽はどのように規制されていますか?
  Q11:レジオネラ感染症を予防するための注意事項はなんでしょうか?
  Q12:それでも心配な人はどうしたらよいですか?

Q1:レジオネラ感染症はいつ頃発見されたのですか?

A1:1976年夏に米国フィラデルフィアのホテルで行われた在郷軍人の大会で122人が原因不明の急性肺炎に集団感染し、29人が死亡したのが初めてです。そのため、在郷軍人病とも呼ばれております。後にこの菌はレジオネラ菌と命名されました。

Q2:レジオネラ菌はどこにいますか?

A2:自然界で存在する可能性があるのは土中、池、河川、湖沼などのアメーバに寄生しています。実社会で存在する可能性があるのは24時間風呂、温泉、循環式風呂、公衆浴場、サウナ、プール、空調設備(エアコン)の水冷冷却塔、加湿器、給湯設備、人工の滝、噴水などです。本菌が混入したエアゾル(1〜5μmの微少水滴)が飛散し、肺の中に吸引することにより感染することがありますが、発生率は数%と低いのです健康人では発病しませんが、病人、老人、小児は発病しやすいのです。

Q3:レジオネラ菌はどのような特徴をもっていますか?

A3:レジオネラ菌は長さ2〜20ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)、幅0.3〜0.9ミクロンの細長いグラム陰性(グラム染色で赤色に染色される)の細長い菌(医学用語で桿菌-かんきん-と呼ぶ)です。25〜43℃で増殖し、70℃以上の高温では1分以内に死滅します。潜伏期間は2〜10日間です。レジオネラ菌はpHが6.8〜6.9の範囲でしか増殖できません。

<培養した菌の集落><顕微鏡で見た菌>

Q4:レジオネラ感染症の症状はどのようなものですか?

A4:レジオネラ感染症には軽症で感冒タイプのポンティアク熱と呼ばれるものと、重症のレジオネラ肺炎を起こすものの2種類があります。前者は頭痛、発熱、筋肉痛、関節痛、下痢などの症状であるのに対し、後者では高熱、悪寒、筋肉痛、吐き気、意識障害などの症状を呈します。発症してからは急速に病状が悪化し、重症例では適切な治療が行われないと7日以内に死亡します。

Q5:国内外における最近のレジオネラ感染症の事例を教えて下さい?

A5:レジオネラ感染症は下記のような事例があります。これらのケースでは、殺菌のための塩素が不足したり、源泉貯湯槽温度が60度以下であったり、温泉湯が殆ど入れ替えてなかったりしたことによります。

 2000年 3月:静岡県掛川市のリゾート施設で温泉利用の循環式風呂で、24人が肺炎になり2人死亡。

 2000年 4月:山形県大江町の温泉利用の入浴施設で、2人感染。

 2000年 6月:茨城県石岡市の「ふれあいの里・ひまわりの館」の入浴施設で、42人が感染し3人死亡。

 2000年 7月:名古屋市の大学病院の24時間風呂で、1人感染し死亡。

 2001年12月:板橋区内の銭湯で入浴中の77歳の男性が薬湯で感染し、レジオネラ肺炎で死亡。

 2002年 2月:JR東日本などが栃木県喜連川町で分譲した温泉付き住宅地「フィオーレ喜連川」で温泉供給。設備の貯湯漕から国の基準の約800倍に当たるレジオネラ菌が検出され、同社は温泉の供給を停止。

 2002年7月:宮崎県保健薬務課は7月30日、レジオネラ肺炎の集団感染がおきたことを発表した。
 9月15日時点で、レジオネラ菌感染が確定した患者は32人、感染の疑いのある患者は263人となった。現在までに60代から80代の7人が死亡(男4名、女3名)した。日向市の温泉施設に入浴した1都2府11県の30代〜80代の男女計934人が被害者として補償対象になっている。
 問題となったのは、宮城県は日向市が出資する第三セクター、温泉施設「日向サンパーク温泉」内の「お舟出の湯」で、オープン前の6月20、21日には「体験入浴」として近隣住民ら約400人を招待していた。同施設の温泉湧出量は一日当り182トンで60〜80トンの温泉水をタンク内にため循環させていた。社長は「山本孫春市長」が兼務し、7月1日にオープンした。大浴場のほか、露天風呂や泡風呂、サウナ、洞くつ風呂など9つの浴槽を備え、これまでに約2万人が利用した。水質検査に訪れた日向保健所職員が「利用者数人にレジオネラ菌に感染した疑いがある」と6月19日に自粛を要請したにもかかわらず、3日間も営業を続けたことで非難されている。
 露天風呂からは150万CFU/100mlのレジオネラ菌が検出された。これは厚生労働省の基準としている10CFU/100ml未満の15万倍にあたる。宮崎県警は7月30日、業務上過失傷害容疑で温泉施設と日向市役所を家宅捜査した。日向保健所は公衆浴場法に基づき60日間の営業停止処分にした。
 今回の事件についての問題点は次のようにまとめることができると思います。 1)日向保健所職員が入浴者がレジオネラ菌に感染している疑いで営業自粛要請をしたのを無視してオープンした点 2)温泉水の加熱機の温度が55度(厚生労働省の法令では60度以上とされている、60度以上ではレジオネラ菌が死滅する)と低いためレジオネラ菌が大量に増殖し、レジオネラ菌が基準値の150倍にもなった点 3)浴槽からあふれ出たお湯(オーバーフローしたお湯は浴槽の表面のお湯で人の垢、毛髪、老廃物などが浮かんでいて浴槽内部のお湯よりも不潔である)を再利用するための回収タンクの清掃やこのお湯の消毒など、衛生管理が不十分なまま循環装置を動かしていた点 4)循環式温泉風呂はレジオネラ菌が発生しやすいのにもかかわらず、消毒用の塩素濃度が浴槽内でゼロであった点 5)多数の入浴客が使用したにもかかわらず定期的に温泉水を換えなかった点 6)6月に源泉タンクのお湯が2度にわたり合計12日間停留し、その間にレジオネラ菌が増殖した可能性があった点 などです。
 9月2日より1223人の被害者と補償交渉を始め、814人と示談が成立した。日向市の全職員535人が2人1組で被害者宅を訪問し、入院治療費(患者負担分)、看護料、入院雑費、通院費、休業補償、慰謝料の6項目について補償金を提示し、示談が成立した対象者から支払うことになった。補償費は1億1000万になる。

2002年8月:英国中部でレジオネラ症が発生
 英国中部バロー・イン・ファーネスで、8月2日「レジオネラ症」が発生し、8月3日朝現在で19人の感染が確認され、89歳の男性1人が死亡した。保健当局は最終的な感染者数が130人近くに上る可能性もあるとし警戒している。町の中心地にある市民センターの空調用冷却システムが菌の繁殖源で、屋外に噴出した水滴の吸引が感染経路と見られている。

2002年8月:温泉やスーパー銭湯の6割にアメーバ発見
 国立感染症研究所と全国14の衛生研究所の調査によれば、全国の温泉やスーパー銭湯など237カ所を調べたら、6割以上にアメーバが発見された。アメーバは重い肺炎を起こすレジオネラ菌やまれに脳炎の原因になるウイルスを食べていることもある。お湯の循環装置などに付着していることが多いので、消毒や清掃の徹底が必要である。昨秋から237カ所を対象に、内風呂、露天風呂、ジャグジーなどそれぞれ2〜6設備の湯を調査した結果、64%の151カ所でアメーバが見つかった。
 アメーバは体長100分の3ミリ前後の単細胞生物で、淡水、海水、土壌などに広くいる。温水で増えやすい種類にはレジオネラ菌を増殖させたり、人への病原性があったりするものが多いという。

2002年8月27日:稚内温泉「童夢」 でレジオネラ菌476倍
 稚内市は同市富士見4丁目にある市営施設の稚内温泉「童夢(ドーム)」の打たせ湯から、国の基準の476倍のレジオネラ菌が検出されたと発表した。施設利用者に健康被害や感染は確認されていないという。
 同温泉は市が民間業者に管理・運営を委託している。今月3日の定期検査で採取した男性打たせ湯の温泉水を検査した結果、厚生労働省の基準値を大きく超えていた。市は打たせ湯やジェット噴射装置、ジャグジー湯など、施設の一部を停止した。菌が繁殖しやすい配管を清掃し、濾過(ろか)装置の増設などをする。同温泉は97年6月に開設。一日約20トンの温泉水がわき出ているが、水を加え、約80トンのお湯を循環させて利用している。一日平均約850人が利用、今月中旬に150万人を突破した。

2002年8月30日:東郷温泉で入浴の男性が死亡
 鹿児島県東郷町の東郷温泉で入浴の長崎県内の男性(63)がレジオネラ菌に感染して死亡した。この温泉は東郷町100%出資の地方公社運営の「東郷温泉ゆったり館」で、基準値の1万3000倍のレジオネラ菌を検出したと発表した。死亡した長崎県の男性は、13日から3日間、家族4人で鹿児島県に帰省し、13、14日に同館で入浴した。15日から全身けん怠感やせき、発熱などが現れ、20日に容体が悪化し、長崎市内の医療機関を受診した。尿検査でレジオネラ症と診断され、20日夜に死亡した。9月13日時点でレジオネラ菌感染が確認されたのは7名である。
 長崎県から連絡を受けた鹿児島県は20日、同館の浴槽など7カ所の温泉水を採取し検査したところ、30日に大浴槽から基準値の1万3000倍、露天風呂から2200倍のレジオネラ菌を確認した。貯湯槽からは検出しなかった。同館は家族湯を除き、湯を再利用する循環式浴槽であった。ろ過装置内のろ材からレジオネラ菌を含む雑菌を検出した。ろ材は粒状のセラミックスで、微小のくぼみや穴があり、消毒用の塩素を注入しても菌が殺菌されない場合がある。
 東郷町が観光の目玉として総工費14億2千万円をかけ、8月初旬に仮オープンした大型温泉施設で、9月1日に全館オープンを控えていた。これまでの温泉利用者は延べ約11,000人であった。9月だけで約300人の宿泊予約が入っていた。

2002年9月13日:厚労省がレジオネラ症で浴場使用中止の指導通知
 厚生労働省は全国の公衆浴場の利用者にレジオネラ症の発症が相次いでいる問題で、利用者への感染拡大の恐れがある場合、感染源を特定できなくても、感染源の疑いのある浴場施設の使用中止を指導するよう、全国の保健所に通知した。

 この他、新聞や雑誌に報道されていないものも含めると多数の事例があると思われます。

Q6:レジオネラ菌の検出率はどのくらいですか?

A6:調査した地域、調査した時期などによりレジオネラ菌の検出率は若干異なります。山形県衛生研究所のデータでは、レジオネラ菌の検出率は冷却塔で66.7%(平成6年調査)、温泉の源泉0%(平成6〜9年調査)、温泉浴槽61.9%(平成12年調査)、24時間風呂83.9%(平成7〜9年調査)でした。

Q7:レジオネラ感染症の診断はどのようにしますか?

A7:患者さんの病歴、症状、レントゲン写真などでレジオネラ感染症が推定されます。最終診断としては1)GVPC寒天培地、WYO寒天培地、BMPA寒天培地という特別なレジオネラ菌を増殖させる培地を使用します。細菌培養によりレジオネラ菌の分離、同定する方法、2)血清抗体価測定法、3)菌体を特異血清で染色する方法、4)PCR法、5)尿中抗原の検出法などがあります。

Q8:レジオネラ感染症にかかり易いのはどんな人ですか?

A8:レジオネラ感染症は乳幼児、高齢者、免疫機能が弱った病人、男性の喫煙者、飲酒家などです。男女比は3:1で男性に多いといわれております。

Q9:レジオネラ感染症の治療法はどうなっていますか?

A9:抗菌薬療法が主体となります。早期にマクロライド系、ニューキノロン系、テトラサイクリン系、リファンピシンなどの抗生物質を投与すれば治癒します。

Q10:レジオネラ菌に関して、厚生労働省の省令では浴槽はどのように規制されていますか?

A10:厚生労働省は、平成13年9月11日に「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」を発令しました。浴槽中のレジオネラ属菌は10CFU/100mL未満が基準になります。衛生管理、浴槽の管理の項では、塩素消毒が望ましいが、オゾン殺菌又は外線殺菌による消毒も可としております。毎日完全換水型浴槽では1年に1回以上の水質検査が必要です。連日使用型循環式浴槽では、1週間に1回以上定期的に完全換水し、浴槽の消毒・清掃が必要です。貯湯夕ンクは60℃以上に設定する必要があります。塩素濃度を0.2〜0.4mg/Lに1日2時間以上保たねばなりません。循環ろ過装置を使用する場合は消毒を1週間に1回以上実施することになりました。この厚生労働省の省令には罰則規定がないので、個々の施設でこの規則が守られているとは限りません。

Q11:レジオネラ感染症を予防するための注意事項はなんでしょうか?

A11:家庭、オフィス、公共施設についてそれぞれ、下記のような注意事項を守りましょう。

 家庭での注意事項としては、24時間風呂、エアコン、加湿器は換水、清掃、消毒をまめに行いましょう。24時間風呂では最低1カ月に1度はお湯の交換が必要ですが、より頻回に交換した方が良いでしょう。飲酒時や体調が悪い時には入浴しないで下さい。

 オフィスでの注意事項としては、空調設備の水冷冷却塔に近づかないようにして下さい。給湯器の温度を60℃以上になっているか随時、確認して下さい。

 公共施設での注意事項としては、循環型の温水プール、温泉、公衆浴場、ジャグジーバス、ジェットバスでは水を飲みこんだり、気泡を吸い込まないようにします。レジオネラ菌入りのお湯をシャワーや給湯に利用している温泉もあるので、シャワーで頭や顔を洗い、水しぶきを吸い込むと発病する恐れがあります。

 公衆浴場でも24時間循環式の風呂が増えており、十分な塩素消毒やお湯の全交換、細菌培養などが必要になっております。公園やホテルなどの噴水や滝などの修景用水ではエアゾルが多量に飛散するので近づかないように注意しましょう。

 異物を除去する装置である集毛器、貯湯槽、濾過器、お湯を循環するためのモーターなどに レジォネラ菌が増殖しやすいので十分に殺菌すことが必要です。オゾン殺菌よりは塩素殺菌の方が効果的です。厚生労働省が決めた週一回の温泉水を交換ではなく、もっと頻回に浴槽の温泉水を入れ替えてると同時に 、浴槽の掃除をていねいに行うことが大切です。

Q12:それでも心配な人はどうしたらよいですか?

A12:下記の事項を温泉、温水プール、公衆浴場で聞きましょう。
 1) 循環式浴槽か完全換水型浴槽ですか?
 2) 何日に1回、お湯を取り替えていますか?消毒薬は何を使用してますか?
 3) 何日に1回、消毒していますか?
 4) レジオネラ菌の検査はいつ実施しましたか?
 5) レジオネラ菌の数値はどの位でしたか?
 6) 上がり湯(温水のでる水栓)は温泉湯ですか?

日本温泉協会は2002年の夏より、温泉旅館・温泉施設・湯質をミッシェラン方式(星の数1〜5)で評価することになりました。放流式や循環式なども記載した看板を表示する予定とのことです。