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2008年1月から日本臨床検査専門医会の会長を拝命致しました。何とぞ宜しくお願い致します。
ご承知のように、我が国では現在少子高齢化が進んでおります。したがって、高齢者の医療費の増大が大変問題になっていますし、少子化に関してはそれによる産婦人科、小児科などの医師不足も深刻な問題となっています。その結果、今後は時代に見合った医療の提供が重要になっております。
一方、臨床検査が日常の医療に不可欠なものである事は言を待ちません。しかし、残念ながら臨床検査の評価については必ずしも高いとは言えません。特に、保険点数上は検査実施料の引き下げがここ10年以上続き、検査現場は冬の季節であります。
しかし、最近明るい材料も見えて参りました。例えば、特定健診で臨床検査が重要項目として設定されており、臨床検査が予防医学上重要であるとの認識が具体的に出ております。ここは臨床検査を国民に売り込む最大のチャンスであります。
また、臨床検査の質を評価する動きが出ておりまして、国も検体迅速検査、緊急検査など臨床的有用性の高いものを評価する機運にあります。やはり、患者さんにとってどのような臨床検査が重要かを専門家である我々が示し、それを国などで適正に評価して貰う努力が重要です。
さらに、遺伝子検査などの高度な臨床検査の医療への適応が拡大してきておりまして、先進医療などで認知されつつあります。これは混合診療と関連しておりますが、今後の医療の在り方の中で、臨床検査も十分に未来の医療を支える柱の一つとして認識される必要があります。
こう言う背景の下で、行政の方針に応えるように我々臨床検査専門医も具体的に対応してゆく必要があると思います。
また現在、臨床検査専門医は基本領域のものとして日本専門医認定制機構で認知されつつあります。ごく最近、日本専門医認定制機構の中では、各学会の専門医はその特徴を明示する事になりました。つまり、国民からみて専門医がどのような者であるかを明確にしないといけないと言う事です。それでは臨床検査専門医とは何かと言えば、今の所は以下のようになります:臨床検査(血液や尿などを対象とする検体検査と心電図などの人体・生理機能検査)に関する専門的医学知識と技能を有し、臨床検査が適正に実施できるよう管理し、医療上有用な検査所見を医師・患者に提供する医師です。また、新たな臨床検査の研究および開発を行うと共に、臨床検査医学の教育に従事する医師です。
つまり、臨床検査専門医はあくまで臨床検査の管理、所見の作成をし、教育や研究を行う医師であります。臨床検査で疾患を診断するなどの行為は今の所、他の臨床領域と重複するため臨床検査専門医の守備範囲外となっています。以上の事は臨床検査専門医が何かを定義づけるのに大変重要です。この点をよくご理解の上、医療の中で業務を行って頂きたいと思います。
ただし、臨床検査科の標榜が近い将来実現する事が期待されておりますので、その場合はさらに臨床検査専門医の医療における役割が変化して来る事も考えられます。つまり、他の臨床各科の医師ができないような、臨床検査に関する診療を行う事もある程度視野に置く必要も出て来るかもしれません。
いずれにせよ、臨床検査専門医は、まずは検査室で適正な検査結果を臨床医や患者に提供する事が基本ですので、臨床検査専門医が中心となってひとつずつ信頼のおけるデータを作り上げることが肝要です。また、他の医療従事者とも十分情報交換をして、チーム医療に貢献する事も大変重要です。このような事を日夜真剣に取り組む事こそ臨床検査専門医のあるべき姿であり、私としてもそのための方策を追求する所存であります。
ただ、そうは言っても臨床検査専門医が、国民や他の臨床領域の先生方に周知されているかと言えば、なかなか十分理解されていない面もあります。したがって、今からは臨床検査専門医の役割をさらに明確に示す必要がありますので、その点も努力をして行きたいと思っています。
いずれにしても、臨床検査専門医制度を通じて質の高い臨床検査を実施し、適切な検査情報を提供して患者中心の医療に貢献したいと思っております。
どうか臨床検査専門医に対して、医療関連の皆様方のご支援とご鞭撻をお願い申し上げます。
2008年1月4日
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