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ISOの国際規格とガイドに基づく認定と認証の違いISO/TC212国内検討委員長・国際臨床病理センター所長 河合 忠ISO 15189:2003, Medical laboratories - Particular requirements for quality and competence [臨床検査室−質と適合能力に対する特定要求事項]が、2003年2月15日に発行された。その国際規格を臨床検査室に導入するための指導書(ISO/TR 22869)がISO/TC212/WG1にて審議中である。こうした動きの中で、世界的に臨床検査室の認定プログラムが既に導入されているか、または導入のための準備が進んでいる。ISO 15189は同時に欧州規格(EN)でもあり、欧州連合に加盟している国においては強制規格となっているので、近い将来欧州連合各国での採用が義務付けられる。わが国においては、日本臨床検査標準協議会(JCCLS)が財団法人日本適合性認定協会(Japan Accreditation Board for Conformity Assessment, JAB)と共同で、「臨床検査室認定プログラム」を導入することが決まり、現在具体的な準備が進んでいる。そこで、臨床検査を担当する臨床検査専門医は、ISOが発行する国際規格とガイドに基づく認定や認証について正しく理解しておく必要がある。 適合性評価機関とは ISOが発行する国際規格(International Standard, IS)及びガイド(Guide)に基づいて認定(Accreditation)または認証/審査登録(Certification/Registration)をするために満たすべき要件がある。表1は、それらについてまとめたものである。国際規格の要求事項が満たされていること(適合性)を判定する活動を「適合性評価(Conformity Assessment)」と呼び、そのサービスを実施する機関を「適合性評価機関(Conformity Assessment Body, CAB)」と呼ぶ。適合性評価の対象となる事業はさまざまであるが、表1には主な4つの分野について記載した。すなわち、試験(Testing)/校正(Calibration)、検査(Inspection)、製品認証(Product Certification)及びシステム認証/審査登録(System Certification/ Registration)である。ここでは、ISOに加盟している日本の代表機関である日本工業標準調査会(Japan Industrial Standards Committee, JISC)で使用している用語を用いるので、従来臨床検査分野で使われている用語と一部紛らわしい点があるので注意していただきたい。 それぞれの分野における適合性評価機関として試験所・校正機関(testing and calibration laboratory)、検査機関(inspection body)、製品認証機関(product certification body)とシステム認証/審査登録機関(system certification/registration body)がある。試験所/校正機関はISO/IEC 17025の要件を満たしていなければならない。検査機関はISO/IEC17020、製品認証機関はISO/IECガイド65、システム認証/審査登録機関はISO/IECガイド62の要件を満たしていなければならない。今回ISO 15189が対象としている臨床検査室(Clinical Laboratory, Medical Laboratory)は、工業分野における試験所に相当する。 認定機関とは 適合性評価機関がISO規格・ガイドに規定された要求事項を満たし、なおかつ特定の適合性評価サービスを実施しする能力があることを正式に承認することを「認定」と呼び、それを行う権威ある機関を「認定機関(Accreditation Body)」と呼ぶ。製品認証機関とシステム審査登録機関のための認定機関はISO/IECガイド61の要求事項を満たしていなければならない。 また、試験所・校正機関と臨床検査室のための認定機関はISO/IECガイド58の要求事項を満たしていなければならない。それらの要求事項の詳細については省略する。ISO/IECガイド58は、現在ISO/CASCO(適合性評価委員会)において改定作業が進んでおり、近い将来ISO/IEC 17011という国際規格として発行される予定である。 認定事業における相互承認協定とは 認証機関または審査登録機関は、認定機関による審査を受けて、ISO国際規格に対する適合性評価サービスを実施する能力があるという証明書の発行を受け、その事実を公表している。他方、認定機関の質を担保するために国際的または地域的に協力機構が設立され、加盟している認定機関の間で情報交換や協議を行っている。試験所/校正機関認定機関については、国際的な組織体として「国際試験所認定協力機構(International Laboratory Accreditation Cooperation, ILAC)」があり、アジア太平洋地域では「アジア太平洋試験所認定協力機構(Asian Pacific Laboratory Accreditation Cooperation, APLAC)」がある。さらに、それらに加盟している団体の中でも一部の認定機関の間で「相互承認協定(Mutual Recognition Arrangement, MRA)」を結んでいる。すなわち、MRAへ加盟している認定機関同士が互いに定期的に認定プロセスの質について相互評価しあっており、最終的に国が異なっても、MRAに加盟している認定機関同士での能力や認定結果の同等性を認め合っている。現在、MRAは発足以来未だ歴史も浅く、その活動も限定的であるが、将来は外国強制法(例えば、国が制定する法律、規則)等に受入れられるように働きかけている。わが国の試験所認定機関でILACとAPLACに加盟し、しかも国際的にMRAを結んでいるのは財団法人日本適合性認定協会(JAB)である。 ISO15189が要求している臨床検査室の「質(Quality)」と「適合能力(Competence)」の両方を満たすことを正式に承認できるのは「ISO/IECガイド58の要求事項を満たす認定機関」であり、しかも「MRA」に加盟している機関であることが望ましい。したがって、今後、臨床検査室がISO15189の適合性評価を申請するときには、申請先が認定機関なのか認証/審査登録機関なのか、さらに審査対象となる内容についても確かめる必要がある。 |